口腔崩壊の恐怖…溶けた歯や歯茎で食事をする子供達。虫歯率減少の中、広がる口腔内格差。

健康

「格差社会」が広がりつつある現代において子供達の身体に深刻な「格差」が生まれています。

その正体は「口腔内格差」。

背景に貧困やネグレクトが潜んでいる可能性が大きく、全国的な問題となっています。

子供達を襲う「口腔崩壊」とは

口腔崩壊という言葉を知っていますか?

虫歯が10本以上、または歯の根しか残っていない未処置の歯が何本もある状態のことをそのように呼ぶようです。

人間は食べ物をしっかりと咀嚼して体内へ入れ栄養を摂取するわけですが、口腔崩壊していると痛みを堪えて食事をしたり、進行している場合は歯茎で噛むしかないので軟らかいものしか食べられず栄養が偏るケースが考えられます。

1970年代から比べると子供の虫歯保有率は格段に下がっているにもかかわらず、口腔崩壊している子供達は一定の割合で存在しているのはなぜなのでしょうか。

参照:厚生労働省 (平成30年 歯科疾患実態調査結果の概要より)

校内歯科検診の結果から

毎年学校内で行われる歯科検診。子供達の口腔内の健康を促すために行われるものですが、治療が必要だと指摘されても歯科医院に行かないケースが半数強だそうです。

全国保険医団体連合会が21都道府県を調査し2018年6月にまとめたレポートによると、

歯科未受診率…小学生 52.1%、中学生 66.6%、高校生 84.1%

「口腔崩壊の子供がいた」学校…小学校 39.7%、中学校 32.7%、高校 50.3%

にのぼるそうです。

参照:https://mainichi.jp/articles/20190730/k00/00m/040/196000c(画像は大阪府歯科保険医協会提供)

口腔崩壊している様子を他にも見てみたい方は「口腔崩壊 子供の歯」で検索してみてください。崩壊の恐ろしさに背筋が寒くなるかもしれません…。

治療に行かない理由

経済的・精神的な余裕がない…治療費の支払いが困難、嫌がる子供を歯科医に連れて行く気力がないなど

時間がない…シングル家庭や共働き夫婦の場合は特に仕事の時間を歯科医受診に割くことが難しい場合がある。その他習い事を優先して放置してしまうケースも多い。

親の意識が低い…親自身が歯を大切にするという意識がないと「虫歯くらい…」と考えがち。仕上げ磨きもしないし歯磨き習慣もつきにくい。

「乳歯は放置していい」という誤った解釈…「どうせ抜ける歯だから」と治療を受けさせない親が意外と多い。

ネグレクト

口腔崩壊を放置すると

乳歯の時に一度口腔崩壊した子供は、直ちに治療を開始してきちんとした歯磨き習慣を身につけない限り永久歯になっても同じような状態に陥る率が高くなります。口腔崩壊するほどの虫歯菌が口腔内にいるわけですから乳歯が抜けたら口内環境が良くなると考えるのは安易すぎます。今までと同じことをしていても乳歯が永久歯になっただけのことで崩壊を繰り返すだけです。

「乳歯は虫歯になっても抜けるから大丈夫」と考える親も一部いらっしゃるようですが、乳歯の虫歯を治療せずに生え変わりまで進行させたままにしてしまうと、驚くことに虫歯に侵された永久歯が生えてくることもあります。

参照:http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/09/0902_2.htmlより一部抜粋

虫歯により歯が溶けてなくなると、深い歯周ポケットの中に歯周病菌が入り込み、血液に乗って全身を巡って身体の様々な箇所に影響を及ぼします。

歯周病菌が原因となり引き起こされる恐れのある病気として心疾患、脳梗塞、認知症、糖尿病、妊娠中の方は早産リスクが代表的です。

「歯周病」は「歯」という漢字が入っているために歯だけの問題だと捉えられがちですが、歯周病菌はいまや身体のあらゆる箇所で発見されており口腔トラブルのみならず全身トラブルを引き起こす恐ろしい病気だと認知され始めています。

口腔崩壊を放置することは、咀嚼が困難になり栄養を摂りづらくなるだけでなく後々生命に関わる病を発病させる引き金にもなり得るので軽視できるものではありません。

口腔ケアの大切さについての記事はこちら→https://sekiseiinco.com/482.html

口腔崩壊は健全な精神発達も阻害する

ここで口腔崩壊の子供になった気分で考えてみたいと思います。

もしあなたの歯が虫歯や歯垢などで汚く変色していたり前歯がなかったとしたら…。

友達など他の人になるべくその事実を知られたくないと考える人が大半だと思います。

実はそれは子供の世界でも共通しているそうで、口腔崩壊の子は人前でしゃべらなかったり笑顔を見せられなかったり、人との接触を避けたがる傾向が強いとのことです。見た目の問題もありますが口の臭いもきつくなりがちなので、多感期の中学生~高校生になると1年中常にマスクを着用している子供もいます。

その他歯の痛みやそれに伴う頭痛、注意力が散漫になったり情緒不安定になったりするなど、学習面でもマイナスの影響が出やすくなります。

人と思うように接触ができずに学業にも生活面にも支障が伴う口腔崩壊は、傍にいる大人が食い止めてあげなければならない病だと感じています。

おわりに

虫歯予防のために歯医者さんへ定期的に通う子がいる一方で、歯磨きの習慣や親の意識が低いために口腔崩壊を起こしている子供がいるということに驚くとともにその子が毎日幸せに暮らせているのかということも気になってきます。

実際に学校検診の際に虐待やネグレクトが判明するケースもあるそうで全国的な問題の一つになっています。

先程ご紹介した全国保険医団体連合会の2018年のレポートでは、学校から治療するよう指摘されても未受診のまま放置されている子供達が全国に約26万人いるとされており、治療を受けに行った子供達を軽く上回っているのが現状です。

虫歯は自然治癒することがなく、口腔崩壊がすすむことで痛みも治療期間も治療費もどんどん膨れ上がっていく厄介な病。

近年は子供の医療費負担を少なくしようとする動きが全国で多くみられており、自治体によって多少の差はありますが以前に比べると経済面では子供を病院に連れて行きやすくなっていると感じます。

 

一人でも多くの子供達が口を気にすることなく人前で笑顔になれますように。

 

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