【コロナストレス】を抱える子供は7割以上。過敏性腸症候群を発症するケースが増加傾向。

健康

コロナウイルス蔓延をきっかけに、今までの生活が一変してしまってから半年超。

電車通勤だったのを車通勤に変えたり、会社には出勤せずに自宅でリモートワークをしたりと働き方にも影響が出ています。

しかし生活が変わったのは大人だけではありません。

子供もこの半年間の生活の中で、かなりのストレスを溜めていたようです。

子供の変化を見逃さない

東京都世田谷区にある国立成育医療研究センターでは、コロナが子供や保護者の心身の健康状態にどう影響しているかを知るため、加えて問題の早期発見や予防・対策に役立てることを目的に、ホームページ内で「コロナ×こどもアンケート」を実施しています。

詳細はこちら→国立成育医療センター:コロナ×こどもアンケート

2020年6月15日から7月26日に行った第2回目の調査では、全国の子供達981名、保護者5,791名、計6,772名がアンケートに参加。そこで得たデータを集計すると、なんと子供の72%に何らかのストレス反応が表れているという結果が出たそうで…。

ストレスを抱えた子供には一体どのような変化が見られるのでしょうか。

子供のストレスに気付きづらい現実

子供の7割以上が何らかのストレスを感じている中、子供が抱えているストレスに親が気付いてあげられていたケースは全体の24%程度だったということも判明しました。

なぜストレスに気付けなかったのか原因は様々ですが、

・コロナでこれまでとは違う対応を必要とされることが一気に起こり、親が仕事に精いっぱいで子供の変化に気付く時間的・精神的ゆとりがなかった

・子供がまだ幼くストレスを抱えていることを親に伝えられなかった

・子供に腹痛・頭痛などの症状が出ていても、それがストレスからくるものだとは思っていなかった

・親も大変そうにしているのでストレスを感じていることを子供が言い出しづらかった

などが考えられます。

子供の年齢によりストレス反応も様々なので、我が子の異変に気付けなかった親の少なさを責めるのは安直すぎますが、今まで以上に注意深く子供を観察することを親が意識しなければならない事態だと感じています。

子供の出す“ストレスサイン”

子供のストレスは周りの大人が気付きにくい面がありますが、大人が少し意識を変えるだけで発見できることもあります。

・いつもより寝つきが悪い、夜中に度々起きる

・以前より集中力が落ちている、散漫になる

・無気力になる

・コロナに異常に過敏になる

・癇癪を起こす、暴言を吐く、自己や他人を傷つける

・下痢、便秘、身体のだるさが続く

など、子供のストレスは他人でも気付ける出方をすることもあります。

「風邪でしょ」で済ませてしまうのではなく、そんなときほど注意してみてあげることが必要になってきます。

ストレスと密接にある“過敏性腸症候群”に注意

元々は仕事などのストレスから大人が発症することが多かった過敏性腸症候群。

近年は子供が発症する例が増えつつあり、注目されている病気の一種です。

おなかの痛み、下痢、便秘といった不快な症状を引き起こします。

・朝、トイレからなかなか出てこない

・登校途中で引き返してきてトイレへ駆け込む

・「授業中にトイレに行きたくなったらどうしよう…」ということばかりを考えてしまい授業に集中できていない

などの症状が繰り返されるようであれば、過敏性腸症候群を疑ったほうがいいかもしれません。

原因は?

緊張やストレスがこの症状が引き起こされる大きな原因だと考えられています。

心的負担がかかることで自律神経が乱れ消化器官に異常を及ぼすため、下痢、便秘、それらを交互に繰り返すなどの症状が出てきます。

仮に病院で検査を受けたとしても炎症や詰まりなど特に異常は見られないことがほとんどで、精神状態に大きく左右されている疾患だと言えます。

治療法は?

過敏性腸症候群は、原因となるストレスを解消することが回復への近道です。

ストレスがなかなか取り除けない場合などは、消化器科の医師に相談して薬を処方してもらって服用したり、心療内科で心理療法などの治療を受けると改善が見込まれます。

しかし、一度発症してしまうと原因が取り除かれた後もその状態が続きそのまま慢性化することもあるため、いかに早く子供の異常に気付き適切な処置をするかがとても重要です。

症状が軽度なら食事で改善するケースも

食事は脂っこいものをなるべく避け、食物繊維の豊富な野菜や果物をできるだけ摂りましょう。

食品添加物・化学調味料・酸化した油・防腐剤などを多く含むインスタント食品やジャンクフードは胃に負担をかけるだけでなく、腸内環境の悪化にも繋がります。

症状がそれほど重くなければこれらの食品を食べる頻度を減らすだけでも改善が見込めますが、この疾患は自力で治すことが困難な人の割合が多いです。

もし思ったように改善しなくても焦らずに、かかりつけの医師に相談して適切な治療を開始してくださいね。

一番のストレスは“学校での腹痛”

ストレスが原因で引き起こされる腹痛は、子供にとっては生き地獄です。

登校から下校までの大半の時間を「おなかが痛くなったらどうしよう…」と常に不安がっている子もいるほどです。

これでは学校に行っても授業にも遊びにも集中できません。

授業中におなかが痛くなってトイレの許可をもらうことや、休み時間にお友達がたくさんいるなかで用を足すことは子供にはハードルが高すぎる事柄。

特に男の子は個室トイレに入ると目立つため、からかいの対象になるのを恐れてずっと家まで我慢するケースもあるようです。それが頻繁であるとすればその心労は計り知れません。

もしこのような悩みを抱えているお子さんがいらっしゃれば、授業中でも気兼ねなくトイレに行かせてもらえるよう担任の先生にお子さんの体調を理解してもらいましょう。

授業中にトイレに行ける!と思うだけでも子供の心の負担は大きく軽減されます。

学校生活と子供のストレス

子供の心は繊細で、大人が考え付かないようなことやすごく小さいことでも大きな問題として抱えこんでしまっていることが時としてあります。

・授業中に当てられたらどうしよう

・答えがわからなかったらどうしよう

・学校でおなかが痛くなったらどうしよう

・授業中にトイレに行きたくなったらどうしよう

・給食全部食べられなかったらどうしよう

・先生の機嫌が悪かったらどうしよう

など、学校が生活の大半を占める子供達にとってはこれらは一大事です。

大人の感覚で「そんなことくらいで…」というようなことでも、子供にとってはどうしようもないストレスとなっていることがあるのです。

ストレスを少しでも和らげるために

我が子の心を知りたい一心で「学校で何があったの?どうしたの?なんで??教えてよ」と質問攻めにしてしまうと子供に新たなストレス要素を与えてしまいかねません。

「困ってることがあったらいつでも聞くから相談してね」くらいで留めておき、後は子供の話したいタイミングを待ちましょう。

子供のタイミングを「待つ」ってとっても難しいです。

ついつい口出ししたくなってしまいますが、我慢我慢。。。

話しやすい雰囲気作りをして子供の動きを待ちます。

解決策をいっしょに考えてあげる

例えば、計算が苦手なお子さんが「算数の授業があるから明日は学校行きたくない」と相談してきたらどう答えますか?

「そうか、嫌いなんだね。でも行かないともっとわからなくなっちゃうから頑張って行こうね。」

と、お子さんの意見に賛同しつつ登校を促す親御さんが多いのではないのでしょうか。

でもこれでは話をただ聞いたというだけで、子供の心は何の解決もされていませんよね。

大切なのは、行きたくないという気持ちの根っこの部分を親が知ること。そしてその問題に一緒に向き合ってあげることです。

この例の場合、算数がネックになっていることを本人は親に伝えています。

そこから、計算が遅いから苦手意識があるんだろうな…→先生に当てられたときにサッと答えられないのかな…→答えられない自分にみんなが注目していることがプレッシャーになっているのかな…→そのストレスから反射的にトイレに行きたくなるのかな…と色々想像することができます。

仮説をいったん立ててみて、それが合てはまっているのか一つ一つ子供と確認しながら、根っこにたどり着いていきましょう。

根ほり葉ほり聞くと子供が抵抗を感じてしまうこともあるので、何となく「ここが根源だな」と親が感じられたならそれ以上は追求しないでおくのがベター。

子供の場合、根底にあるのは「恥ずかしさ」や「プレッシャー」が大半だと思います。

根底が分かれば、それじゃ一度思い切って休んでみる?とか、帰宅後に復習をきちんとして勉強に自信をつけるとか、解決するための色々な提案ができます。

感情とどう向き合ったらいいのかを一緒に考えて提案し、どうしたいかを子供に決めさせて少しずつ改善の方向へ進むようにしましょう。

【余談】頻尿だった小1の娘

我が家の次女が小学校に入学しひと月が経過したころ、彼女の身体に異変が起こり始めました。

それは“頻尿”。

家でも1時間の間に2回トイレへ行くということが多くなり、話を聞くと学校でもすぐにトイレに行きたくなるとのことでした。

「何かがおかしい…」

思い当たるのは学校に対するストレスでした。

次女が卒園した幼稚園から同じ小学校へ進学した子はたったの3人で、あとは全員知らない子。初めて会う先生、初めて会うお友達、初めての勉強…。かなりの緊張があったのだと思います。

別の日にやんわり聞いてみたところ、担任の先生が「トイレは休み時間に行ってね。授業が始まったら行けなくなるよ」と指導していたそうでそれが娘にはとんでもないプレッシャーだったよう。

先生の指導は全然間違ってはいないし当然のことなのですが、本人には大問題。

トイレのことを気にする時期が続いたため担任の先生に今の娘の状況をお話しし、授業中でもトイレに行かせてほしいとお願いしました。

担任の先生が自分の頻尿を知ってくれたことで安心したのか、それからしばらくして頻尿は落ち着き、通常通りの回数に戻りました。

子供って本当に素直で敏感で繊細です。

どんなに小さな不安でも気軽に話せるような環境があることは、子供だけではなく親も安心できます。

子供の不安を親も一緒に乗り越えていきましょう。

コロナに対する子供の意識

コロナで生活が一変したことでストレスを抱える子供は一気に増えました。

特に今学校を休むということに子供達は敏感になっているそうで、朝の検温で熱がないことに安堵し学校へ向かうそうです。

学校を一日でも休むと「コロナになったんじゃない?」とクラスで噂されているのではないか、と怯えていると言います。

冒頭でご紹介した国立成育医療研究センターのアンケートでは、家族や友達がコロナに感染した場合にどのような行動をとるか、という項目もありました。

7~17歳の子供に自分や家族が感染した場合について質問すると、(いずれも複数回答)
・感染した場合は秘密にしたい…32%
・秘密にしたいと思う人が多いだろう…47%
という結果となり、大多数の子供達が感染を知られることに抵抗感があることが明らかになりました。

さらに、感染して治ったお友達に対しての対応については(複数回答)
・あまり一緒には遊びたくない…22%
・遊びたくない人が多いだろう…40%

という結果に。このような思いを他人も持っていると思うから余計に学校を休むことを怖いと感じているのかもしれません。

マスクのストレス

このような状況になってから、学校ではマスクを着用することが必須となりました。

酷暑の中でもマスクをきちんと着用していて暑いし息苦しいし、きちんと従っている全国の子供達は本当によく頑張っていると思います。

しかしマスクのストレスはそれだけではありません。

特に小学校に入学したばかりの新1年生は、先生達の顔を覚えたいのにマスクで顔が隠れて覚えづらい、表情が読み取りにくいといったストレスがあるようです。

それ以外にも、お互いにマスクをしているけれど人のくしゃみや咳に敏感になり、近くで誰かが咳をしようものなら「自分はコロナになったかもしれない…」と帰宅後に泣き出す子もいるそうで、コロナの心的ストレスは半端じゃない域まで達しているのだろうと痛感しています。

コロナに対する正しい知識を子供達に教え、差別や偏見を持たないよう親も指導していかなければなりません。

おわりに

まだまだ落ち着きそうもないコロナ。

完全封じ込めよりもwithコロナの精神でこのウイルスとうまく付き合っていく方法を模索していかなければなりません。

我が家の次女もコロナにはビクビクしていて、「外に行こう」と誘っても「コロナになるから行かない」といまだに家に居たがります。

きちんとマスクをして、人と距離を取って、用事を済ませたらすぐに帰れば大丈夫だよ、と促しても「イヤ!」の一点張り。

子供には「コロナ」というものは目に見えないとても恐ろしい病気、という認識があるようです。

今まで会社に出勤していた親が自宅で仕事をしたり、学校が突然休校になったり、外出自粛が促されたり、毎日コロナ関連のニュースが必ず報道されたりと、子供なりに危険性を察知しているのかもしれません。

そんな不安の中で学校が始まり、休校中の遅れを取り戻すために勉強をたくさんしなければならず、休み時間は密になるからとグラウンドでの遊びを禁止され、夏休みも短縮になり、酷暑の中また通学する…。

休校が明けてホッ…夏休みが終わってホッ…ではなく、どれほどの肉体的・精神的負担が子供達にのしかかっているのか、周りの大人達は今一度きちんと見てあげなければいけません。

 

お子さんの様子を毎日観察して、変化を見逃さないようにしましょう。

 

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