家族により安全でより清潔な食品を食べさせたい。そんな思いから購入してきた食品を冷蔵庫に入れる前に洗う、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん安全清潔なのは健康を保つために大切なことなのですが、洗うことで危険度が増す食物もあるんだとか。
その代表的なものが「卵」と「鶏肉」です。
鶏肉に関する記事はこちら→鶏肉は高確率でカンピロバクターを保菌している⁉知っていれば怖くない、安全に美味しく食べるための基礎知識。
卵は洗わないで!!
卵は鶏の肛門から生み出されるため、多少の汚れがつくことは免れません。しかしこの汚れを落とすため、家庭で卵を洗ってから保管することは実はとっても危険…!
卵の殻の構造を知ろう
卵の殻は多孔質(細かい穴があいている構造)であり、外部からの酸素を取り込み内部の二酸化炭素を放出できる仕組みになっています。つまり、呼吸するための穴が殻には無数にあるということ。
加えて卵の最外層には「クチクラ」という薄い膜があり、この膜が内部に微生物や雑菌などが侵入するのを防ぐ役割を果たしています。でもこのクチクラ、少しの摩擦や軽い洗浄でもすぐに失われてしまいます。
卵が出荷されるまで
現在スーパーなどで販売されている卵のほとんどは、GPセンター(洗卵選別包装施設)で選別され、洗卵してから出荷されています。(食品衛生法では、洗卵の際には150ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液又はこれと同等以上の効果を有する殺菌剤を用いるよう指導されています)
「洗卵しているならクチクラがなくなって雑菌が入りやすくなっているのでは??」という疑問がわきますが、洗卵後には表面の殺菌処理もしているので生でもほぼ安全に食用することが可能です。ちなみにこの方法で処理された卵がサルモネラ菌に汚染されている割合としては10万個中3個あるかどうかだと言われています。
買ってきた卵をさらに洗卵するということは、空気の通り道である卵殻の小さな穴から搬送中に付いた雑菌等を卵内に送ることになりかねず、殻はきれいでも中身が毒されてしまうという恐れが出てきます。
気になる方は表面を拭く程度でとどめておいた方が賢明です。
産みたて卵を食す場合
ではGPセンターを介さず、産まれたばかりの卵を食べる場合にはどうでしょうか。
先程ご紹介した通り、卵の一番外側はクチクラで保護されているため雑菌の侵入は防げます。
しかし表面は産んだままで洗浄されていないため、サルモネラ菌等がついてないか…などと悩んでしまいますよね。
この場合は、殻を触った手に菌がいるかもしれないので二次被害を防ぐために他の用事をするときはまずは手をよく洗うこと。
そして卵を割るときは中身が殻の外側につかないよう意識して割る。割った卵の上に殻を落とさないよう注意です(苦笑)!
産みたて卵を生のまま食すのは最高の贅沢だと思いますが、気になる方は加熱をオススメします。70℃以上で1分以上加熱すればサルモネラ菌は死滅するので、特に高齢者や幼児、重い疾患をお持ちの方は念のために無洗卵を生で食べることは避けた方がいいかもしれません。
卵の賞味期限は??
卵の賞味期限は生食で食べる場合の期限であり、加熱調理であれば表示されている期限を過ぎても食すことが可能ですので、期限切れだからといって直ちに捨てることはありません。
卵の保存はサルモネラ菌の繁殖を防ぐために10度以下が最適な温度であるといわれ、購入後すぐに10度以下で保存されているものならば卵はかなり長いこと保存が可能です。
日本卵業協会によると、卵が生食で食べられる期限は
夏期(7~9月)…産卵後16日以内
春秋期(4~6月、10~11月)…産卵後25日以内
冬季(12~3月)…産卵後57日以内
とされています。
売られている卵は約2週間の賞味期限が設けられているものがほとんどですが、これは業者がルールとして印字しているものであり、実際は随分長いこともつようです。
さすがにこの期限を過ぎたら加熱してから食べた方がいいかもしれませんね。
余談ですが…
スーパー等で卵が常温保存されているのはなぜだと思いますか?
なぜなら結露による細菌の侵入を防ぐため、温度変化をなるべく少なくするために常温なんだそうなんです。
とはいえ適しているのは常温より冷蔵保存。
ご自宅では冷蔵で保存しましょうね。
まとめ
洗卵後のはずなのに表面が汚れている卵…結構見かけますよね。ついつい洗いたくなりますが数日間保存するなら洗うのは禁物。買うときはなるべく汚れの少ない卵を選び、そのまま冷蔵庫で保存しましょう。
無洗卵の場合は表面の汚れが中身に触れないよう気を付けて。せっかくうまいこと割れてもその手でお皿やお箸を触ってしまうと菌が口内に入る危険性があるので面倒でも手洗いはこまめに。
安価で栄養価の高い卵。
安全に美味しくいただきましょうね。
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