早いもので4月ももう終わろうとしていますね。
進級・進学で新しい年度への期待と不安に満ちていた子ども達も、少しずつ新生活に慣れてきた頃でしょうか。
新生活のスタートは、気付きにくいだけで子どもでもストレスを多少なりとも感じるもの。
この時期は特に、子どもの心身の様子を注意深く見てあげたい時期でもあります。
我が家の長女の経験を交えながら円形脱毛症について考えていきたいと思います。
我が子の頭にハゲ発見…!
この春、新学期が始まり1週間も経たない頃、11歳の長女が寝転がっている姿を何となく見ていたら、なんだか前髪付近の様子がおかしい…。
よーく見てみると、髪の毛の生え際あたり、しかもど真ん中付近にポツンと毛が無い箇所がありました。
嘘でしょ!?!?!?
ななななな、何で…!????
本人に聞いてみても「全然気づかなかった」とのこと。
毎朝長女の髪の毛をセットしていたはずの私もその事実に全く気付いておらず、このような状態になっていたことに二人で衝撃を受けました。
思い当たること
【円形脱毛症】=【ストレス】の図式が頭にあった私は、長女のストレスの原因を思い浮かべました。
実はこの春、我が家は県をまたいでの引っ越しをしており、それが本人も知らないところでストレスになっていたのではないかと真っ先に思ったのです。
引っ越し、知らない土地、新しい小学校に登校…。
仲の良かった友達とも離れ、友達のいないこの土地で不安を隠して頑張って通っていたのかな…。
住み慣れた土地を離れることは想像以上に長女の心身に負担をかけていたのだろうか。
長女に色々期待をしすぎて、知らず知らずのうちにプレッシャーをかけていたのだろうか。
きょうだい喧嘩の時によく長女を怒ってしまっていたな…。
そういえば…。
春休みに入ってすぐの引っ越しでバタバタだった数日間、料理を作ることさえままならず、スーパーの総菜等を多用していたことも影響があったのだろうか…。
引っ越し直前辺りから春休み中、子ども達の就寝・起床時間、食事の時間等、生活リズムがぐちゃぐちゃになっていたのにしばらくそのままにしていたからか…。
もうとにかく思い当たることがありすぎて、自分のせいで長女の心身を苦しめたのではないかと申し訳ない気持ちでいっぱいになり、
「すぐに気付いてあげられずにごめんね…」
と、思わず長女に謝りました。
早めの受診が親子を救う
この状態に気付いたのが日曜日の夜。
単身赴任中の夫にすぐに連絡をして事情を説明し、
・原因の除去
・早期治療
が重要だろうということで、早めに病院に連れていくことで意見が一致。
明日、学校から帰宅したらすぐに連れて行こうと思っていました。
そして翌朝。
長女が「行きたくない」とポツリ。
「体調が悪いわけではないから行きなさい」と促しても「行きたくない」の一点張り。
髪の毛が無くなっていることが相当にショックだった様子…。
大人になってから円形脱毛症を経験した方の話でも「発見した時は本当にショックだった」とのことなので、長女自身にも相当なショックだったと思います。
「いま無理に行かせても余計に精神的負荷をかけるだけだろうな」と判断し、一日お休みすることにしました。
小児科か皮膚科か
どうせなら少しでも早く病院に連れて行ってあげたい、と病院を検索したのですが、何科を受診すべきか一瞬迷いました。
小児科??
皮膚科???
どちらでもよさそうな気がしたのですが(実際にどちらを受診してもいいそうです)、『髪の毛がない→皮膚トラブル?』と判断し、とりあえず皮膚科を探すことに。
近所に「小児皮膚科」があることを知り、早速行ってみることに。
円形脱毛症の原因がすごく気になっていたのですが、それ以上に気になったのが「【脱毛症】じゃなく【抜毛症】じゃないよね…?」ということでした。
※【抜毛症】については後述します。
何が原因??
医師に状態を話すと虫眼鏡のようなもので抜けた個所をじっくり観察。
「うん。自然と抜けたみたいだね。自分で抜いたわけではないようだよ」と一言。
「今のところ一か所だけのようだし、1㎝×7㎜程度の比較的小さいものだからそこまでひどくはないですね」
とのことで、ひとまず安心しました。
「原因は何ですか?ストレスでしょうか?
実は最近引っ越してきたばかりで、子どもの心身には負担をかけていたかもしれません。
下に二人妹弟がいるので、必要以上に我慢をさせてしまっていたかもしれません…。」
と事情を話すと、
「実は、子どもの円形脱毛症は原因がはっきりわかっていないんです。
『円形脱毛症』というと強いストレスとか連想されるかと思いますが、子どもの場合はそうではないことが多い。
引っ越しや家族関係はもしかしたらこの症状の誘因になった可能性はあっても、それが直接の原因とは考えづらい。
子どもの脱毛症で今一番有力視されているのが【自己免疫疾患】です」
と説明してくださいました。
自己免疫疾患とは
自分の正常な細胞を異物とみなし、免疫細胞が攻撃してしまうことを【自己免疫疾患】と言います。
今回の場合は、長女の毛包組織が異物として免疫細胞に認識されてしまったために、攻撃にあった部分の毛が抜けてしまったようでした。
成長期に起こる頻度が上がるとのことで、ここ最近グングン成長している長女にはその条件がピッタリ当てはまっています。
免疫の攻撃を和らげるために、長女の場合は1日2回使用する塗り薬が処方されました。
処方された薬がこちら↓
リンデロンーV ローションタイプ(塩野義製薬)
副腎皮質ホルモン(ステロイド外用塗布剤)で、抗炎症作用や免疫抑制作用などにより、皮膚炎などにおける湿疹、痒み、赤みなどを和らげる効果のある薬。
「治るまでに3カ月はかかると思っていてください」とのことだったので、この薬を塗って気長に生えてくるのを待つとします。
抜け方には個人差が
うちの娘の場合は、抜けている箇所が1か所でしたが、1~3カ所程度の円形脱毛症は【単発型脱毛】と言います。
脱毛箇所が少ないため気付かなかったり気付くのが遅かったりするケースも多く、1年のうちに8割の人が何もしなくても治癒しています。
それ以上に抜けている箇所が多い場合は【多発型】と呼ばれ、自然治癒を待つよりもきちんと専門医に診せ、適切な治療を受けることが必要となります。
さらにもっとひどくなると、多発した脱毛箇所がどんどんつながったり(蛇行性円形脱毛症)、全体的に脱毛してしまう【全頭脱毛症】に発展してしまう場合があります。
脱毛範囲の広さや脱毛後の回復の仕方は人それぞれ違いますので、脱毛箇所を発見した場合にはまずは医師に診てもらい、適切な治療を受けることが治癒への近道となります。
抜毛症との違い
さて、私が心配していた【抜毛症】ですが、脱毛症も抜毛症も髪の毛が抜ける点では共通しているのですが、決定的な違いが2点あります。
一つ目は、脱毛症が「自然に抜けている」のに対し、抜毛症は「自ら抜いている」という点。
そしてもう一つは、脱毛症が【皮膚疾患】とされるのに対し、【精神疾患】として区分されることです。
この疾患を抱える人の多くが不安を抱えている時に発症していて、その数は人口の1~2%程と言われていて、中でも子ども~思春期の女性に罹患者が多いです。
美容目的以外で自分の体毛を繰り返し抜く場合は【抜毛症】の恐れがあります。
抜毛症は強迫性障害の一種として考えられていて、髪の毛を抜く行為がストレス緩和に繋がる、心が落ち着くなどと思い込み、自身でも無意識のうちにどんどん髪の毛を抜いてしまう病気です。
抜きすぎてその部分がハゲる→自己嫌悪に陥る→そのストレスからまた抜いてしまう…というループに入ると大変なことになるため、発見した時は早急に心療内科を受診することが改善策です。
最近抜毛が広がってる。。でもなんかこれって、ほんとの自分を生きたい!出したい!表したい!そして、それを最大限に表現して生きたい!!っていう表れにしか感じない。。良いとか悪いとかじゃなくって、そーゆーの全部超えちゃってる。。#抜毛症 pic.twitter.com/vfh4Uy0JSS
— おばけ👻 (@tomtom402jp) October 22, 2017
近年では男性の抜毛症患者が増加傾向だそうです。
受診から半月経過
娘が皮膚科を受診してから半月が経ちました。
毎日朝晩、薬は欠かさずに塗っていますが、今のところ目視では毛が生え始めていると言った様子ははっきりとはわかりません。
次回は1ヵ月後に…と言われているので、GWが終わったあたりで再度受診してみようと思います。
学校生活ではその部分がわからないよう、髪型を工夫して過ごさせています。
娘は前髪が長いため七三分けにして、その前髪を毛のない部分に蓋をするような形で編み込みをしています。
太めのヘアーバンドも隠すのには最適です。
人それぞれ毛の抜ける範囲や抜ける場所が違いますので隠し方にも差は出ますが、娘は今のところこの髪型でお友達にもバレていないそうです。
もうすぐ待ちに待ったゴールデンウィーク。
しかし毎年連休明けから不登校や気分の沈みが激しくなる子が増える時期でもあります。
お子様の気持ちの変化や体調の変化を見逃さないよう、注意深く見守っていきましょう。
抜毛症でお悩みの方はこちらも参考に。
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