【カフェイン】と聞くとコーヒーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
コーヒーには脂肪燃焼促進やダイエット効果、大腸がん・肝がんの予防効果、心臓病や脳卒中の予防効果など嬉しい効果がたくさんある反面、飲みすぎるとカフェインの過剰摂取で副作用が起こる危険性があります。
カフェインの過剰摂取は意識障害や心停止、死亡のリスクもあるため注意が必要なのですが、近年日本でも外国でも【カフェイン】を頻繁に摂取する子ども達が増えているとのことで懸念されています。
カフェインに依存する子ども達
子どもがカフェインを摂取…といっても、コーヒーや紅茶を1日に何倍も飲むというわけではありません。
頻繁なカフェイン摂取の正体は【エナジードリンク】なのです。
エナジードリンクを毎日飲む子も…
今や自販機やコンビニ、スーパーなど、どこでも手軽に手に入るエナジードリンク。
一昔前までは大人の飲み物という印象でしたが、今は若者世代のウケを狙っている商品も多く、飲みやすいものが出回っています。
市場調査を行う富士経済の調べでは、国内のエナジードリンク販売額は2007年からの10年で約34倍。かつては大人の嗜好品のような存在だったこの手の飲み物は、今や子ども達にも広く蔓延しています。
エナジードリンクにはカフェインが多く含有されており、
・目が冴える
・集中力がアップする
・疲労感の軽減
などの効果から、塾の帰りや夜の勉強の合間など、受験をきっかけに飲み始める子どもが増えているとのことです。
中には『エナジードリンクを飲むといいよ』と講師に言われて飲み始めた子も。
しかしこのエナジードリンクがきっかけで体調不良を起こす子どももいるのです。
あまり知られていないカフェインの恐ろしさ
コーヒーや紅茶、緑茶などの身近な飲み物にも含有されているからなのか、カフェインを過剰に摂取することの危険性はそれほど認知されていないように思います。
100mlあたりにカフェインがどれだけ含まれているかというと、
・コーヒー…90mg
・紅茶、ココア…30mg
・ウーロン茶、ほうじ茶、緑茶…20mg
カフェインの摂取量
カフェインの1日の摂取量の目安は
カフェインによる体調不良
カフェインの摂りすぎは身体に不快感をもたらします。
・めまい ・頭痛 ・吐き気 ・胃痛 ・下痢 など
・嘔吐 ・錯乱 ・手足のしびれ ・呼吸困難 ・意識障害 ・異常な脈の速さ ・心拍の乱れ など
カフェインを過剰に摂取した場合には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがあります。
このため、食品からのカフェインの摂取に関しては、国際機関などにおいて注意喚起等がなされています。
エナジードリンクには中毒性がある!?
カフェインは食物にも含有されているため一般的に危険認知は低いですが、『アッパー』と呼ばれる興奮作用を得られる薬物の一種としての位置づけもあります。
覚せい剤などに比べて効果ははるかに弱いものなのですが、カフェインがある成分と混ざるとその興奮作用は格段に強くなります。
その効果を強くするのは【アルギニン】。
アルギニンとはマメ科の芽から発見されたアミノ酸の一種で、滋養強壮、疲労回復、成長ホルモンの分泌などその効果は多岐にわたります。
これがカフェインと融合することで興奮作用が高くなり、依存性も増大するということが研究で判明しています。
市販のエナジードリンクにはこの2種類が含有されているものが多く出回っているため、「エナジードリンクがないと不安」「飲まないと勉強に集中できない」など中毒症状の出る若者が増えています。
エナジードリンクの恐怖
最初は少量を飲むだけですごく効果が得られたとしても、飲む頻度が増えるごとに身体は徐々にその作用に慣れていき、やがて思うような効果が得られないと実感することも出てきます。
カフェインに対する耐性が身体にできてくるということですね。
すると、効果が得られない→じゃあ飲む量を増やして効果を得よう、という単純な発想からエナジードリンクをまとめ飲みしてしまい体調を急変させる人が増加しています。
2011年にはアメリカで、14歳の少女が710ml缶2本のモンスターエナジーを飲んだ直後に体調が急変し、死亡に至っています。(少女は生まれつき心臓に疾患があったそうで、普通の人以上に身体に負荷がかかった恐れがあります)
しかし驚くことに、疾患のない健康な若者でもエナジードリンクによって心筋梗塞や不整脈が引き起こされ、命が危険な状態になるという報告もされています。
エナジードリンクは血圧、心拍数、血糖値、コレステロール値をが急激に上昇させ、心臓や血管系に過度な負担をかけさせるため、重大な疾患に繋がる例が後を断たないとのこと。
飲用することに危険が潜んでいることを知らない人たちが次々に被害に遭っています。
ドリンクから錠剤へ…
エナジードリンクに身体が慣れ、効果を感じにくくなった人が次に手を出すのはカフェインの成分を固めた【錠剤】です。
ドリンクのようにおなかがタプタプになることもなく、しかも1粒でドリンク2本分もの強さが得られるということで手を出す人が若者を中心に増えています。
薬局でもインターネットからも手頃な価格で手に入れられるため、常備しているという人も。
手軽に効果が得られる反面、飲み方を間違えると危険な目に…。
日本中毒学会の調査によると、2011年度からの5年間でカフェイン中毒で少なくとも101人が救急搬送され、7人が心停止となり、うち3人が死亡したことがわかっています。
その多くはカフェインの錠剤を多飲していたとのこと。
眠気覚ましやパフォーマンスの向上といった目的以外に、自殺の方法としても使用されだしているとのことで強く懸念されています。
カフェインレスの子どもに
子ども達がこのようなものに手を出す背景にあるのは、プレッシャーやストレスも関係しているようです。
人より多く勉強していい学校へ入るため。
疲れた体を癒すため。
不安を取り除くため。
飲み始めたきっかけは色々あるでしょうが、飲み続けることでいつの間にかそれがないとどうしようもなく不安になったりと依存性が強いことも理解しておかないといけません。
実際に試験前に飲んだり、試合の前に飲んだりする子どもも一定数いるそうですが、パフォーマンスを上げるためにと飲んだドリンクが直後に体調不良を起こすきっかけになっていることも知っておく必要があります。
「飲めばうまくいく」と自己暗示をかけ依存度が増すと、多飲したり錠剤に移行したりと危険度がますます上がってしまいます。
麻薬と大して変わらないと言っている学者もいるほど、カフェインには依存性や危険性が高く潜んでいます。
受験勉強のさなかに親がエナジードリンクを差し入れするという家庭もあるそうですが、本当に驚きです。
小さい頃からの習慣が大人になってからも継続していくことを考えると、むやみやたらに与えるべきものではないのでは、と思います。
おわりに
エナジードリンクは今では種類も豊富で飲みやすいものが多量に陳列されています。
何気なく飲んだ一杯がずっと継続するきっかけとなることもあります。
飲んではいけないものではないですが、飲まなくてもいいものでもあります。
中毒性のあるものに手を出す前に親がきちんと危険性を理解し、子どもにも説明する必要があるのではないでしょうか。
依存する子どもが一人でも減ることを願っています。
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