年々増え続ける【面前DV】。自己防御のために脳の一部が変形する子も。

生活

コロナ蔓延により昨年から自粛生活が断続的に続いている日本。

4月25日~5月11日の期間は大阪府、兵庫県、京都府、東京都の4都府県に緊急事態宣言が出されることになり、いつこのような生活から抜け出せるのか一向にわからない状況です。

コロナによる失業や減収は深刻さを増し、どう生活をしていくべきかとピリピリする大人の陰で、この状況に苦しみを抱える子どもも日々増加しています。

面前DVとは

2004年の児童虐待防止法の改正で、18歳未満の子どもの前での家族への暴力・暴言行為は心理的虐待であると定義されました。

直接子どもが被害に遭っていないとしても、家族への暴力・暴言行為を見聞きした子どもは心に深い傷を負い、フラッシュバックに苦しんだり、PTSDを発症することがそうでない子どもに比べてより圧倒的に多いです。

苦しんでいる子どもへのケアは早ければ早いほど有効なのですが、なかなか進んでいないのが現状です。

面前DVは子どもを潰す

DVは、“安心、安全”という子どもが成長する上で欠かせない環境を根こそぎ奪う行為です。

家に居ることが不安で親の顔色ばかりうかがって過ごす幼い子を見たら、あなたならどう思いますか?

その子が健全に育っていくと思えるでしょうか?

親のDV行為を見て育った子どもは精神的に大きなダメージを負い、それを生涯引きずるリスクがあります。

そのような環境に置かれている子は

・常に緊張し、少しの物音にもビクビクする

・暴力・暴言を止められない自分を無力に感じ、責めてしまう

・自己肯定感が低い

・強いものがえらいと感じ、暴力や暴言で人を支配しようとする

など思考に偏りが目立ちます。

また、親がいつどこでどのようにDVスイッチが入るかわからないため、親に極度に緊張し、信用することもできず、結果として親でも他人でも誰のことも信用できないという悲しい性質を身に付ける可能性も大きくなります。

虐待件数は増加の一途

児童虐待は年々増加しており、収まる気配がありません。

児童虐待件数の推移

19万3780件のうち、面前DVを含む心理的虐待は約11万件。心理的虐待だけで前年度より2万1千件増加しているとのことで、早急な対策が求められています。

面前DVを体験した子ども達

ネット内には自身が体験した壮絶なDV体験を発信している方がたくさんいらっしゃいます。

実際にDV被害に遭ったことがないという人にはどのような状況なのか理解しにくいと思いますので、少しでも理解していただけるよう、その方達の体験談を一部を抜粋してご紹介したいと思います。

私が物心つく前から、夫婦喧嘩で父親が母親に暴力を振るっていました。

口が達者でヒステリックな母は、父に暴言を叫び、カッとなった父が母を殴ったり、蹴ったり、首を絞めていました。

止めに行ったりやめてと言っても全く変わりませんでした。

また、父は毎日お酒を飲んでいました。お酒を飲むととカッとなりやすくなるので、当時は怖くて近寄らないようにしていました。

私自身は昔から内向的で大人しく、不安が強く、自己肯定感がとても低いです。

中学のときはいじめられていました。

過去に気分が落ち込んで自傷行為をしたり、男性と沢山遊んでいました。

また、誰かが怒鳴っている声を聞くと震えたりパニックになります。

最近縁あってカウンセリングに行き始めたのですが、家庭環境のPTSDかもしれないと言われました。

ママけんかしないで ”面前DV” 子どもの心の叫び

生まれて間もない赤ちゃんでも夫婦の不穏な空気は理解できると言われており、その状況が続くことで発達に影響が出るとされています。

喧嘩の内容を理解できる年齢であればなおさら子どもの心に大きな傷をつけ、親が思う以上の悪影響を与えることになるでしょう。

子どもが寝静まった真夜中に喧嘩をしたとしても、声や物音で子どもが目を覚まし、お互いのすごい剣幕に衝撃を受けて「寝てる間にまたあんなことになったらどうしよう…」と不安で眠れなくなることもあるのです。

このようなトラウマは、子どもの心に長い間影を落とすことになります。

PTSDを発症する子ども

PTSDとは、子どもが極度の恐怖体験をした後、時間が経ってもその出来事に強いストレス(恐怖)を感じることを言います。

強烈な体験が自身の中でトラウマとなり、いつまでも恐怖に支配されていたり、反復して恐怖を感じたりと人によって出方は様々です。

地震や災害などの体験でも発症する子はいますし、夫婦喧嘩を目撃した場合でも発症する子どもはいます。

参照:to_torauma.pdf (ncchd.go.jp)

子どものPTSDの症状は年齢によって多少差があります。

幼児期 

・夜中に突然目を覚ます

・大きな音、聞き慣れない音に対して必要以上にビクビクする

・フラッシュバックしそうな状況を避けようとしたり叫んだりする

・ぐずる、泣きわめく、強情になる、わがままになる

・今まで話せていた言葉が出ない、できていた運動ができない

学童期

・不安や恐怖を明らかに表す

・同じことが起きるのではないかと不安になる

・今までできていたことができなくなる

・無気力

・攻撃的な態度

・家に引きこもろうとする

思春期

・心を閉ざす

・事故を多発する

・睡眠障害、摂食障害

・大人になり急ぐ

・ひきこもり

早くに気付き治療を開始してあげることが大切ですので、日々の観察を欠かさないようにしてください。

脳に変異が認められるケースも

親からの不適切な養育を受けた子どもには、うつ病や自傷行為、対人恐怖症などの精神疾患以外に影響の出る箇所があります。

それは信じられないことに、『脳』なんです。

子どもが実際に体験した虐待(暴力、暴言、性的、心的など)の種類や程度により脳への影響は増減しますが、そのような虐待を受けた子の脳をMRIで調べると変形が確認できる子がいるそうです。

身体的虐待
前頭葉の変形が見られる傾向。うつになる確率UP、非行行動などをしがち。最も影響を受けるのが6~8歳頃。
性的虐待
視覚野の容積が減少傾向。特に11歳頃までに体験した子に顕著に表れる。
面前DV
視覚野の萎縮。幼いころから身近な人間同士のDVを見てきた子どもは平均して6.1%の委縮が確認されている。
暴言
聴覚野の肥大。特に両親からの暴言は脳を深く傷つける。父親より母親からの暴言の方が脳が傷つきやすく、本人に向けられていない言葉であっても脳へのダメージは大きい。

特に視覚野の萎縮については、見たくない情景を詳細に覚えなくて済むように脳を変形させていると考えられていて、自己防御反応が顕著に表れた例だと言います。

イヤな言葉を長年聞き続けてきた脳も、ストレスのある言葉や音に敏感にならないようにと形を変えて防御しているとのこと。

本来の脳の形と違ってしまった子ども達は、精神疾患を患ったり、感情のコントロールがききづらくなったり、暴力や暴言で他人を支配しようとしたりする傾向が強く、脳の変異の後遺症ではないかと見られています。

【余談】面前DVは学校でも

面前DVは、両親同士の喧嘩や、親が他の兄弟を攻撃していることだけに限りません。

実は学校でも起きている問題なのです。

不登校になる理由は様々なのですが、低学年を中心に「先生がこわいから」という理由で行き渋る子は多くいます。

大きな声や早い口調、言葉の強さなどは、特に1~2年生の子どもにはとても恐怖でしょう。

たとえ自分が叱られているわけではなくても、誰かが怒られている姿を頻繁に見ることは子どもにとってはストレスであり、登校を拒否する大きな理由となります。

ひどいときには先生を思い出すだけで過呼吸の症状が出る子もいたりするので、決して家庭内だけの問題ではありません。

子どもの心が潰れてしまう前に学校に申し出て迅速に対処してもらいましょう。

おわりに

児童虐待に「面前DV」が追加されてから虐待件数はどんどん伸びていて、周りの大人からの通報ではなく子供からの通報も多くあるそうです。

子どもにとって、大切な人が誰かに激しく攻撃されているのを見るのは大人が想像する以上にショックなことで、大きな衝撃のあることです。

それが頻繁に繰り返されているとなるとその後の人格形成にも影響が出かねないので本当に注意しなければなりません。

最近では『夫婦喧嘩をするならメールで』との文言を目にすることも多くなってきました。

気持ちを文字にすることで自分を客観視できたり、感情のままに相手に暴言を吐くことをある程度制御できるほか、子どもにその声を聞かせなくていいというメリットがあります。

喧嘩になりそうな時こそ冷静な対処を心がけてください。

 

心が傷だらけになる子どもが、一人でも減りますように。

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