「男は仕事・女は家庭」…。この時代にもまだ根付いている日本人の思考はいつまで続くのか。

生活
Igor LinkによるPixabayからの画像

日々の生活で、「この世の中は男女平等で男尊女卑などない」と言い切れる生活を送っていらっしゃる女性はどの程度いるのでしょうか。

世間ではみんな平等のような発言がよく聞かれますが、実生活で「女なのに…」というような雰囲気を感じたことのある人も多いのではないかと推測します。

今回は家庭における男女平等について考えてみたいと思います。

共働きでも女性の負担が大きい家事育児

共働きしているのに家事育児は女性の方が負担が大きい…。このようなご家族、当たり前のように散見されますよね。

妻がパートで半日だけ働きに行き時間に余裕があるのであれば理解はできますが、お互いにフルタイムで仕事をしていたとしてもやはり女性の方に負担が大きいのはなぜなんでしょう。

男性が家事をやり慣れていないため

掃除、洗濯、食事の準備など、やり方がわからず一つ一つこなすのに時間を要するため、やり慣れている女性がやる方が効率的かつ丁寧だから、と女性の仕事となってしまうパターンが多いようです。

男性の方が拘束時間が長い

職種にもよるでしょうが、一般的に女性社員よりも男性社員の方が仕事の拘束時間は長めのようです。残業が毎日あるなど、同じフルタイムでも先に帰宅できる妻に家事が集中しがちになります。

古来からの男女の役割分担が根強く残っているため

男女平等と言えど、女性が家事をこなすのが当たり前のような風潮はまだまだ消えそうにありません。

 

世界の中でも「日本は夫が家事をしない国」であると認識されています。

出典:内閣府

こちらは2016年における6歳未満の子供のいる家庭の夫婦の家事育児時間をグラフにしたものです。日本の男性の家事育児時間は先進国の中でも最低の水準であることがよくわかりますね。女性の立場からすると、男性にはもう少し家のことに協力してほしいです。

家事をしない男を生み出すのは…

日本には「女は家のことができないと困る」という文化がいまだに根強く残っています。じゃあ男はできなくていいのかって話ですが、中国やスウェーデンでは男性でも家事ができるのが当たり前で、家事のできない男は結婚対象にならないほど論外だそうです。やって当然のことですから「イクメン」なんて言葉もありません。

今や男性一人の力だけで家族を養っていくのが難しい時代になり、共働き世帯がどんどん増えています。女性も働きに出るのだから男性も家のことを協力するのは当たり前の話であり、男だから女だからなんてのは全く通用しません。

女性は家事に協力してくれる夫を望みますが実際それは全体の一部のみ。大部分が非協力的な男性ばかりなのです。

いまだに「家事は女性の仕事」という意識が染みついている

一昔前までは「家事がこなせることが一人前の女性」とされていました。

母親が父親の世話を、祖母が祖父の世話をする姿を間近に見てきた子供達はそれを知らず知らずのうちに脳に刷り込んでいきます。その記憶も作用して女性は大人になった時に男性に家事育児の協力を求めることをためらい(男性もそれを女性の仕事としているので手伝おうともしない)、率先して家事を行い男性を動かそうとしません。家事育児を潜在的に自分の仕事だと思い込んでいる節があるからです。(この意識が強い人ほど保育園などに子供を預けることに罪悪感を強く感じるそうです)

子育てにしても、母親は娘には「女の子は家事ができなきゃね」と手伝わせるのに対し、息子には手伝いを要求せずに勉強に時間を使わせる。男は学業を積んでいい会社に就職して…という構図がまず浮かび上がっているんでしょうかね。

これじゃ女性自らが家事は女性がやるものだと子供に実践しているようなものですよね。時代が変わるのに実態が変わらないのはこの連鎖によるものだと推測します。

周りを見ていると特に、父親が家事に参加していた家の男の子は家事をすることに抵抗なくよく動いて妻を助けている人が多いです。育った環境は本当に大きいです。

余談ですが、約30年前、私の夫の兄は小学校の高学年の時に学校に提出する日記に「家庭科は女子が学ぶべき科目で男子には必要がない」と記したそうです。それを見た義母が「これはマズイ…」と息子2人に家事を手伝うよう促したそうですが、今までやらなくて済んでいたのでもちろん手伝うわけはなく。

義実家は特に「男は外、女は内」という考えが強く、義父はもちろんのこと夫も義兄も家事など手伝わされたこともない家庭です。家事育児一切を義母が一人で担っていました。やらなくて当たり前の日常で育った結果「家庭科は男には必要ない」という日記を堂々と書く息子に育ったわけです。

私の夫も同じ環境で育っているので初めは当然のごとく動きませんでしたが、子供が増えるにつれて私が手いっぱいになり、次第に協力してくれる機会が増えたので有難く感じています。

全く動かないような男性でもやり方次第で動くようになる人もいるので、希望を捨ててはいけません。(けれど過度の期待もNGです…)

 

家事をする男になるかどうかは、親の教育次第、息子にも娘と同等に家事をするよう躾ができるかにかかっていると言えるでしょう。

結局のところ男性を生かすも殺すも女性の腕次第、というところでしょうか。

男性は「稼ぐこと」で男を保つ!?

実際のところ今の若い世代でも「男は仕事、女は家庭」を前提とした意識が根強く残っていて、そのために家事の不平等さが起こっている。この意識を変えることは容易なことではない。

とおっしゃるのは大正大学心理社会学部准教授の田中俊之先生。

なんだかんだと言いながら日本人の根底にはこの考えがいまだに浸透しており、多くの女性を苦しめています。

ちょっとここで実際に私の身近であった例をご紹介します。

夫は会社員・妻は専業主婦

家事育児を一切手伝ってくれない夫。休日は朝から自分のしたいことだけをこなし妻はその間家事育児に一人で追われていました。そんな夫に不満を抱きつつも「自分は専業主婦だから…」と自分の仕事として乗り切っていた妻でしたが、2人目の子供が生まれてから子供の世話が重くのしかかり思うように動けなくなったので、夫の休みの日に「ちょっと手伝ってほしい」とお願いをしました。

すると一言。

「俺と同じだけ稼いできたら手伝うよ」

妻はそれ以来夫に何も期待しないことにして日々を過ごしています。

確かに実際に働いて家族の生活費を稼いでいるのは夫です。が、自分の子を必死に育て、育児をしながら家の仕事をこなし、バランスの取れた食事や清潔な衣類が当たり前のように用意されていることをどう感じているのでしょうか…。

夫は会社員・妻も会社員

共働きの夫婦で子供が2人。家事分担と言えどもやはり妻の方がやることが多い。食事の準備、子供の持ち物チェック、保育園の送迎、洗濯、部屋の掃除、子供のお風呂や歯磨き…。

正社員として長年勤めている妻なので仕事には慣れているとはいえ帰宅後の家事育児の負担は彼女にはとても大変な仕事です。

仕事がとても忙しく大変な時期に夫に「もう少し手伝ってほしい」とお願いすると

「俺と同じだけ稼げるの?」

彼女はいろんな思いが噴き出て涙が溢れたと…。

この先も一生忘れられない言葉の一つだと言っていました。

日本の会社員のお給料は、男性のもらえる額を100とした場合女性その70%ほどしかもらえておらず、「男女同一賃金」にはまだほど遠い状態です。そんな社会の中頑張っている妻にそんな言葉を投げかけること自体滑稽でなりません。

何でこんなことを平気で言えるのか

「男は外・女は家庭」という潜在意識の他に想像力の欠如、思いやりの無さ、そして「稼ぎ=プライド」と感じている人が多いのかなという印象です。

ハッキリ言葉には出さなくても「誰のおかげでこの生活が…」と心の奥では思っているのかもしれません。

もしそうであれば「誰のおかげであなたが仕事に打ち込めてると思ってるの?」と女性側としては言いたくもなりますが。

男性はお金を稼ぐことで自分の価値を感じる人もいて、やればやるほど給料が増えることに喜びや面白さを覚えるみたいです。

協力しない理由の一つとしては労力は計り知れないのにやってもやっても1円も発生しない家事育児を苦痛に感じるから、と考える男性が多いからなのかもしれません。

おわりに

性別役割分担がいまだにまかり通っていたり、職場では長時間労働することが「あの人は頑張っている」ということに繋がったり、時代は令和に突入しているのにまだまだ昭和の香りが濃く残る現代の日本。

男性が育児休暇を取りにくかったり一体いつこの習慣から抜け出せるのでしょう。今後を生きていく子供達に決して踏襲してほしくないスタイルだなぁと思っています。

男性に養ってもらうためだけに結婚したり、女性に身の回りの世話をしてもらうためだけに結婚する人はごく少数だとは思いますが、割り切った結婚にしても恋愛から結婚に至ったとしてもどんな形であれ結婚生活を維持するためには日々お互いの努力と協力が欠かせないものです。

お互いの立場を尊重していれば傷つけ合うこともなくなるでしょうし、今一度立ち止まって相手の置かれた状況を冷静に分析することも重要。

つい先日の新聞記事に「男は仕事・女は家庭」という考えに同感しない人が6割を超えたと出ていました。その記事がこちら→https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/88950

時代はどんどん変わっています。男はこうで女はこう。今まではこうだった。というよりも、これからはこうしていったほうがいいよね、というプラスの提案がどんどん出てくる世の中になることを願ってやみません。

固定観念を捨て、家事育児に理解のある男性が世に溢れますように。。。

コメント

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