内閣府が5年毎に行っている国際意識調査。
昨年の10月~今年の1月にかけて4か国を対象に実施されました。
回答者は20~49歳の男女で、日本では2500人が対象、その他の国では1000人を対象として調査をしてみると、なんと日本人回答者の6割が『日本は子育てがしにくい国』だと感じていることが先日明らかになりました。
参照:日本「子どもを育てにくい」6割 内閣府意識調査、欧州と比べ突出|全国のニュース|下野新聞 SOON(スーン) (shimotsuke.co.jp)
図を見ても明らかなように、他の国に比べて育てにくさが格段に高い日本。
『他国に比べて子育て制度が充実していないからではないか』との見方があるようですが、それだけでなく子どもを抱えた人への世間の目の冷たさがあると思います。
子育てを経験した方、今経験している方であれば、子どもを連れて外に行くことで肩身の狭い経験をしたことが1度はあるのではないでしょうか。
体罰禁止法が育てにくさに拍車をかけている??
子どもへの体罰が法律で禁止されてから早1年と1カ月。
この法律が成立する少し前に、立て続けに躾という名の暴力で子供が虐待死をした事件があり、子どもを暴力から守る目的で2020年4月から施行されました。
幼い子どもが何人も親に暴力を奮われ命を失った経緯から、この法律にはかなりの重みがあるな…と感じるのですが、一方で子育てをしている親に向く世間の目はますます厳しくなったように感じます。
一昔前なら子どもが大声で泣いていても「元気な子だね」で済んでいたであろうところが、「虐待ではないか」と疑われ通報されたりその場で親が注意を受けたり…。
もちろん虐待のケースも実際にはあるのでみんなで子どもを守るという意味では注意も通報も必要なことだとは思うのですが、単に子どもの機嫌が悪くてなだめても泣きっぱなしだから落ち着くまで放っておいた場合や、危険なことをしたから叱った場合などに親が注意を受けたとなると、親へのダメージは相当なものになります。
その日を境に子どもが泣いたらまた通報されるのではないかという恐怖とストレスを感じながら、子どもを泣かさないようにと気を遣って長い時間子育てをしなければならなくなるのですから。
体罰禁止法ができてからそれまで以上に子育てがしにくくなった気がしています。
子育て世代は攻撃の的!?
私の友人が当時2歳の子どもと出かけた時の話なのですが、その日どうしても電車で出かける用事があり、やんちゃ盛りの娘さんを連れて乗車しました。
乗車時間たった10分ですが、子どもが車内で歩き回ったり大きな声を出したりして人に迷惑をかけないようにとその10分間だけ特別にスマホで動画を見せていたそうです。
「小さい子に動画なんか見せてこの親バカなんだろうなぁ…ってきっと周りから思われているんだろうな…」と友人は自分を客観視しながらも、娘が周りに迷惑にならずにおとなしくしていてくれることを優先しました。
そして目的地について降りる際、見知らぬおばさんから「子どもに動画を見せているのはどうかと思う」と注意をされ、腑に落ちない思いを感じたと言っていました。
子どもは親の意思ではどうにもならない時期があります。
注意しても聞かない。泣きだしたら止まらない。そんな子供を外に連れ出すのは親にとっても一大事。
子どもの安全を確保しつつ、周囲に迷惑をかけずにいるにはどうしたらいいかを真剣に考え、出かけています。
友人の場合は周りに迷惑をかけないよう、動画で注意をひくという方法選択をしました。
それが絵本で済む子もいれば、抱っこで済む子もいるでしょう。
でもそれではダメな子もいます。
もし子どもが騒いだとしたら「しつけができていない親」と言われ、みんなに迷惑をかけないようにとお菓子や動画でおとなしくさせていても注意を受ける。
ベビーカーを押していれば邪魔だと言われるし、自転車や車のシートベルトを勝手に外すから「危ない!」と語気を強めて叱っていたら「虐待か?」と疑われる。
こんなような経験が、親達に「子育てしにくい」と思わせているのだと思います。
今の子育て世代って、本当に子育てがしにくいこの日本国内でよくやっていると思いますよ。
外国では全然知らない人があやしてくれたり、泣いているのを見て微笑んでいたり、もっとずっと気楽に子育てができます。
子どものことでこんなに理不尽に肩身の狭い思いをしているのはこの国くらいじゃないでしょうか。
横並びの国民性
日本人は世界も認めるほどの横並び気質。
外国では“個性”を重視するのに対して日本人は個を嫌い、みんなと同じでないものを悪とする傾向があります。
他の子とちょっと違うな…という特徴もなかなかすんなりと受け入れてもらえない気質があるのも育てにくさを感じるポイントだと思います。
未だに根強い「女が家事・育児」
“イクメン”という言葉に違和感を覚える女性は多いといいます。
子どもは男女の間に生まれるのだから双方が様々協力するのは当然のことなのに、女性が子育てをすることは当たり前で、男性が育児をしたら褒められるって…。
女性も男性と同じように働きに出ている人が多いのに、家事育児の負担は圧倒的に女性が大きいですよね。
「男は仕事・女は家庭」…。この時代にもまだ根付いている日本人の思考はいつまで続くのか。
これも子育てがしにくいと感じる一因ではないでしょうか。
子育てに関する支援が他国に比べて足りないから子育てしにくい国、というよりも、子育て世帯に向けられる世間の目がキツイことやパートナーの協力の有無が問題だろうと私は思っています。
5年後の結果は一体どのようになっているのか。
子育てしやすい国だと感じる人が少しでも増えていればいいですが…。
コメント