年明けからのコロナ蔓延で、今年のお盆休みは色々考えさせられることが多かったように思います。
緊急事態宣言が明け、初めての長期休み。
でも世間には「今の時期に帰省するとは何事だ!」と自粛の圧がありました。
コロナを蔓延させないことはもちろん大切なことなのですが、かといって家に閉じこもっているのが正解とも言い難い。
【1年という時間的価値】【帰省の重要性】は人それぞれ違うのですから、何でもかんでも「自粛が善」とする風潮には、正直うんざりしています。
私は最大限の対策をした上での外出はアリだと思っているので、自粛推しの方にはこの記事はイラっとさせてしまう表現もあるかもしれませんので、ご了承ください。。。
帰省する人が悪人となった夏
今年のお盆の帰省は悩んだ人も多いのではないかと思います。
ニュースでも帰省する際は気を付けるようにと毎日のように流れており、特に帰省先が田舎の人ほど暗に自粛を促されているような気がしていたのではないでしょうか。
「今年くらい我慢しよう」という声もチラホラ聞こえていましたが、“たかが一年”だとしても来年もいつもと同じ夏が来るかは誰にもわかりません。
都会人にはわからない田舎の怖さ
「帰省を計画していたけれど、実家から『帰ってくると近所に何を言われるかわからないから控えてほしい』と連絡を受けたのでやめた」という人が多かったようです。
実際、お盆前のコロナ関連のニュースのコメントにも「実家に帰らない」と大多数の人が書き込んでいました。
都会と違い田舎では人間関係が非常に密なため、コロナより速いスピードで噂が蔓延します。
しかも正しい情報だけでなく間違った情報も流れるので、「あそこのお宅、お子さんが帰省しているらしいよ」→「都会から来てるのにコロナ大丈夫なんだろうか」→「都会のお子さんと接触してるから危険かも」→「お子さんからコロナうつされて危険らしいよ」と勝手に変換されることも珍しくないようです。
感染していなくても「あの人コロナになったらしいよ」と勝手に噂され感染者にされる怖さ。
噂が先行してその土地に住むことが困難になり、引っ越しをせざるを得なくなった方もいらっしゃると聞きます。
都会はウイルスに怯えていますが、田舎では人の目に怯えているのが実情でしょう。
都会に比べて閉鎖的であることや医療体制の脆弱さから敏感になるところもあるのだろうとは思うのですが、行き過ぎた行動が散見されることが残念です。
怖いのはウイルスだけじゃない
お盆休みが始まってすぐ、ニュースを見て驚きました。
東京から青森に帰省した方の実家の庭に、「帰れ」という趣旨の手紙が匿名で放り込まれていたというもの。
帰省したご本人は、青森に帰るまえに自主的にPCR検査を2回受け、いずれも陰性だったために帰省したとのこと。帰省後は用事が無ければ外に出ず、家で過ごしている状況だったにもかかわらずこの事態になったと言い、「東京から帰省している人も相当気をつかって来ている。同じ紙が自分に来たらどんな気持ちになるか考えてほしい」と訴えていました。
連日コロナコロナの報道で確かにみんな敏感になっていたとは思いますが、私にはやりすぎにしか見えません。
未知のウイルスですから確かに怖い。
だけど帰省するにあたり最大限できうる限りの予防策をとって帰省する方もいる。
簡単に人を不快にする言葉を、しかも匿名で発するってどうなの???
「コロナだから帰るほうが悪い」という言葉が多いのも驚きで、冷静さを失っている人が多いことがウイルスより怖いと改めて思いました。
同調を押し付ける異常性
この時期のネットのコメントを見ると、「帰省する人間はニュース見てないのか」「大切な人を危険な目に遭わせるなんて信じられない」など、それはそれは帰省する人への攻撃が激しいものでした。
帰省を拒否されるのは当たり前。
というか、帰省する人がまずは自ら自粛してほしい。
帰ってくるなと言いにくい人もいるから。
モヤモヤしながら会っても楽しくないし。どうしても何が何でも帰省したい理由ってなんなんだろう。
高齢の親の命のリスクがあったり、田舎なら村八分で親が嫌な思いをするのに。それ以上の帰省理由ってなんなんだろうか。
そう思う人はそう思っていればいいし、わざわざ書き込む必要ないよね?
何が何でも帰りたい理由なんて人それぞれでしょ。
ちょっとイライラしながら読んでいたらこのコメントの返信に
・どの目線で言ってるの?人は人だ!自分も帰省はしなかったが、いちいちそー言う事言うなよ!黙ってればいいじゃん
・村八分になるのは、あなたみたいに帰って来ないのが、当然というような自分勝手な主張を他人にまで押し付ける人がいるからです
という方がいらして✨スッキリ✨。
そうなのよ、たくさんの人がいるんだからいろんな考えがあるのは当たり前なのよ。自分と違う考えの人を簡単に批判したり意見をガンガン押し付けたりするからありえない行動をする人が増えてるんじゃないの?自粛警察だのマスク警察だの帰省警察だの…。
他人の事情を知りもしないで批判する人のまあ多いこと。
人は人、自分は自分。
それでいいじゃないの。
「私は自粛します」「帰省する人って…」の文面から「私は世間の空気読んでて偉いでしょ」みたいな雰囲気が感じられるのもまた鼻につく。
これってSNS投稿の「いいね!」の心理に通ずるものがあるんだろうなー。
日本人=同調圧力民族
ここで国民性を表すエスニックジョークを一つご紹介します。
⭐救命ボートにて⭐
ある豪華客船が沈没し、多国籍の人々が救命ボートに乗り込みました。しかしボートは満員で男性に降りてもらわなければ沈んでしまいます。どうすればここから降りてもらえるか…。
そこで人々はアメリカ人に言いました。
「ここでおりればあなたはみんなのヒーローになれるよ」
すると彼はガッツポーズをして飛び込みました。
次にドイツ人に言いました。
「飛び込んでください。それがルールですから」
彼はそうか、と納得して海に飛び込みました。
イタリア人にはこう言いました。
「海で美女が泳いでいますよ」
彼はそれなら、と飛び込みました。
イギリス人にはこのように。
「あなたは紳士だ」
彼はうん、とうなづくと海に飛び込みました。
そして日本人。
「行かなくていいんですか?みんな飛び込んでいますよ」
彼はあたりをきょろきょろ見まわし海に飛び込みました。
「周りとの同調を気にする民族=日本人」と世界から思われているくらい、日本は他人と同じことに安心する気質があるのでしょう。
緊急事態宣言が明けてからも、出歩く人を非難、帰省しようとする人を非難、Go Toキャンペーンで旅行しようとする人を非難。。。
コロナがこれ以上流行らないようにという気持ちは根底にあるとは思うのですが、
「私だって出歩きたいのを我慢しているの。だから我慢せずに出歩く人がホントに許せない!!」っていうのも核心部分にあるんじゃないの?と個人的には思っています。
自分はしたいことを我慢しているのに、それをやっている他人が許せない。というか妬ましい。だからもっともらしい理由をつけて攻撃を開始する。
ではなぜ本心に従わないのかと言えば「周りもそうしているから」「非難されるの嫌だから」「人の目があるから」という答えが大半でしょう。
だから自分と違うことを他人がしていると「ルールを逸脱している!」とみなされ攻撃の対象にされるんでしょうね。
緊急事態宣言の時は誇りに思えた日本人の気質が、くすんで見えてしまいます。
会えなくなるリスクは年々高まる
周りがそうだからと言っても、それが自分自身にも正しいかどうかはまた別問題です。
先程も言いましたが、帰省したい理由は人それぞれです。
高齢の親に会いたい、帰省を楽しみに待ってくれている祖父母に会いたい、孫を見せたい…人の数だけ理由はあります。
今年の夏は、会いたい人がいるのにコロナをうつすことが怖くて帰省されなかった方がとても多かったのではと思います。
色々考えられた末での自粛だったのでしょうが、後ろ髪をひかれる思いもあったでしょう。
コロナをうつすかもしれないリスク。来年もしかしたら会えないリスク。
この2つの考えの間で心揺れた方も多いと思います。
「コロナが落ち着いたらまた会えばいい」なんて、そんな簡単な話ではない私は思っています。
この世に生まれ、親がいて、兄弟姉妹がいて、祖父母がいて、結婚相手がいて、子供がいて…って毎日が当たり前に感じているかもしれませんが、実際すごい奇跡が起こっているということです。
命なんて、いつどういう形でなくなっても全然不思議ではありません。来年、会いたい人がいる保証なんてどこにもありません。
お盆の時期には「コロナをうつして後悔したくない」という意見がかなり多く出ていましたが、私はどちらかというと「帰れるときに帰らず、後から後悔したくない」と思っている部類でした。
同じ時代、同じ「今」を生きていることをとても貴重に思う気持ちが強く、うつるかどうかわからないコロナに怯えるより、最大限の予防策を講じてリスクの少ない範囲で会いに行くことは非常に大切なことだと…。
生きる日数、会える回数は1日ごとに減っているのは確実なことですからそう思っています。
人を大切に思う気持ちは共通しているのに、行動の仕方の違いで責め合うのはちょっと悲しいなと感じています。
【余談】
我が家は夫の実家が遠方なので、帰省できるのは夏と冬の長期休みくらい。
最初は持病持ちの義父を気遣い「もし何かあったら嫌だから今回は帰省しない」と言っていた夫でしたが、お盆休みまであと少しという時になり「やっぱり帰る」と。
理由を聞くと「夏と冬の年に2回しか帰れない。そう考えると親が平均寿命まで生きたとしてもあと20回も会えない。今回の1回を逃したくない」とのことで、私も帰省に大賛成。家族5人で帰省することにしました。
交通手段は自家用車。片道8時間かけて行きましたが、義両親に会ったのは2時間だけ。もちろんみんなマスク着用。その日の晩はビジネスホテルに一泊して、次の日は朝から自宅へ向けて車を走らせました。
たった2時間だけでも、親と会えた夫は安心したみたいだし、子供達も久々に祖父母に会えて嬉しそう。孫と会えた義父母も優しい表情をしていました。
とても貴重な2時間だったと思うし、帰ってよかったと思っています。
我が家は「いつ落ち着くかわからないコロナのために親に会うという貴重な機会を逃したくない」という考えを結果的に優先させましたが、「家族が大切だからこそ帰省しない」という選択を優先させた人達の気持ちもよくわかります。
たまたまそこまで田舎じゃないところに義実家があるので近所の目を気にせずに帰省できましたが、ご近所の目が気になる地域も多々ありますもんね。
人の目、価値観の押し付けがこれほどうっとうしいと思ったことは今までなかったかもしれません…。
どの地域も嫌な思いをすることなく、堂々と帰省できる日が早く来てほしいと願ってやみません。
おわりに
毎日のコロナ報道を見ていると、「これからの時代はwithコロナだな」と思えて仕方ありません。
コロナの終息を待っていては大切なものをたくさん失ってしまいそうな気がしています。
コロナとどううまく向き合っていくかこれに尽きるんじゃないかな。
今年の年末がどのようになるのかはまだわかりませんが、ご自身に一番悔いが残らない過ごし方をされるのがいいんじゃないかと思います。
人の目ばかり気にしていても、他人が責任を取ってくれるわけではありません。
大切な人に、一日でも早く会えるといいですね。
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