感覚過敏でマスクができない…。コロナ禍で突き刺さる周囲の目。

生活

コロナの蔓延で外出時のマスク着用が当たり前となってからそろそろ半年。

ウイルス感染を100%防げるわけではないけれど、飛沫感染を予防するための必須アイテムとなっています。

しかし、このマスク着用が困難な人もいるのです。

“感覚過敏”という症状

外部からの刺激を極端に受けやすい“感覚過敏”。

これは人間の五感である、視覚・嗅覚・味覚・聴覚・触覚などの感覚が非常に敏感で、日常生活に支障が出るほどの症状があります。

感覚過敏は、発達障害のある人に症状が多く確認されており、周りの理解・サポートが必要不可欠です。

感覚過敏の症状って?

それでは、感覚過敏の症状がある人は何をどのように感じるのでしょう。

視覚過敏

・蛍光灯の光がチカチカ点滅しているように見える

・太陽の光を感じると体調が悪くなる

・白い紙をとても眩しく感じる

嗅覚過敏

・香水、芳香剤のかすかなにおいでも気分が悪くなる

・トイレの前を通過することができない

味覚過敏

・味の感じ方・舌触りの感触が敏感で、食べられるものが極端に少ない

・食べ物によっては砂やゴムなどを食べているような感覚がある

聴覚過敏

・大きな音、特定の音(電車の音、車のクラクション等)が体調不良を引き起こす

・蛍光灯の光の点滅音や時計の秒針が絶え間なく聞こえてくる

触覚過敏

・服の縫い目やタグが苦手(人一倍チクチク感じる)

・洋服を着られない、着られる素材が限られる

・雨や風が痛く感じる(シャワーを浴びると全身を針で刺されたような感覚になる)

※感覚には個人差があり、この例よりもっとひどい過敏症の方もいらっしゃいます。

症状が外部からわかりにくいのが誤解を招く一因

このように、多くの人が感じる感覚とこれらの症状を持つ人の感覚は信じられないくらいに差があります。

こんなことくらいで、と思うようなことでも過敏に感じる本人にとっては耐え難い苦痛なのです。

しかし、感覚過敏の人の苦しみはまだまだ世間に理解されているとは言えません。

周りから「わがまま」「なまけもの」「神経質」などとレッテルを貼られることも多く、「何度もやって慣れれば大丈夫」と解釈され、苦痛だと思うことを無理矢理にやらされることもあります。

この症状は生まれながらのものなので訓練で何とかなるものではありません。

わかりやすく言うと「呼吸をしちゃダメ!」と言われているようなもの。

一瞬呼吸を止められたとしてもずっとその状態を保てるわけではないですよね。

それと同じで、無理にやらせたところでそれに慣れることはないのです。

感覚過敏の苦しみ

感覚過敏の人は生まれつきそのような感覚なので、逆に言うと過敏でない人の感覚が分かりません。

激しい痛みを伴うシャワーを気持ちいいと言っていたり、身体がどうしても受け付けない食べ物を嬉しそうにパクパク食べていたり、「何で自分は人のできることができないんだろう」と落ち込んでしまうこともあります。

年齢を重ねると人からの目線が気になり、外へ出るのを怖いと感じることさえあります。

理解されないことで自己肯定感が低くなり、生きづらさが余計に増してしまうのです。

障害を言い訳にわがままを通している、という世間の目

過敏症の人の中でも触覚過敏の人は、服を着ることさえもできない人がいます。

服をとても重たく感じる、ウエストや靴下の締め付けられる感じが無理、人に触られるのが嫌、など個々で特徴は違いますが基本的に肌に何かが触れることに過敏です。

コロナ禍でマスク着用が当たり前となりましたが、感覚過敏の人の中にはマスクの着用が困難な人も大勢います。

そのような特徴を持つ人たちに、世間の冷ややかな目線は容赦なく注がれているようです。

マスクできないなら外出するな、という圧力

ネットを見ていると、感覚過敏でマスクができないと困り果てる家族の投稿がちらほら見られます。

マスクをさせようにもすぐ取り払ってしまう、口を塞がれた感覚になるようでパニックを起こすなどどうにもできない状況が伝わってきます。

一方で、先日このような記事がネットニュースに掲載されていました。

マスクが付けられない自閉症の少女がディズニーから退去指示。「感覚過敏」を知ってほしい(カナダ)

この報道にコメントがたくさん寄せられましたが、「マスクできないのに外出しようとするのが悪い」という意見が大半でした。

確かにこの時期にマスクなしで出歩くのは、自分を危険にさらすだけではなく他人をも危険にさらす行為です。

しかもそれが今すぐ実行しなければならない緊急の用事ではないなら尚更ですよね。

コロナが落ち着いてからでいいじゃないか、なんで今なんだ、という意見はとてもまっとうな意見だと思います。

でも・・・

どれだけ正しい意見だとしても、その人の事情が分からないのに責めることは褒められたことではないと感じます。

相手への配慮は不可欠

目の前にいる家族の背景をわかりもせずにマスクをしてるかしてないかだけでいいだの悪いだの言ってるのは非常に滑稽です。

だけど、過敏症状があるんだからマスクしてなくても仕方ないでしょ、ってふんぞり返っているのもまた違う。

世の中、うまくいくために必要なのはお互いを思いやる気持ちじゃないでしょうか。

誰もが自分が大切で、家族が大切。

自分や大切な人を危険にさらすようなことはしたくない。

それは世界各国どの人も共通する思いでしょう。

もしかしたら、マスクをせずに外出する過敏性のお子さんは…

・今まで外出をずっと我慢させてきたけど、本人が限界を迎えていて家で暴れていたのかもしれない。

・他の人の迷惑にならないよう、必要最低限の用事でサッと帰るつもりなのかもしれない。

・その場所へ来るのがルーティンだったのかもしれない。

色々想像ができます。

感覚過敏、特に発達障害のある人はこだわりが強い一面を持つ人も多くいます。

「どうしてもそこに行きたい」と思ったら行くまで気が済まず、それ以外のことが何も手につかないし聞く耳も持たなくなってしまう。

「ここへ行くにはこの道を通らないといけないんだ」というこだわりもある。

それと同じく「マスクをすることは口を塞がれている感覚になって死の恐怖を感じる」とパニックになる人もいる。

本人や家族は苦しんでいることでしょう。

でもだからと言って他の人を危険にさらすようなことがあってはいけません。

マスクをしない側にも相手を思いやる心遣いは必要です。

マスクをせずに外出している人を良く思わない人の背景には、

・家族に高齢者・または持病を持っている人がいるかもしれない

・医師・看護師・介護士などの職業に就いている人かもしれない

・子供に受験や修学旅行などの大きな行事があり絶対に体調を崩させたくないのかもしれない

など、絶対に感染したくないそれぞれの事情があります。

自らを守ることももちろん大切ですし、他人を守ることも同じくらい大切。

他人を思いやる気持ちが欠如している、と勘違いされてしまうのが感覚過敏の人やその家族の一番苦しいところかもしれません。

おわりに

マスク問題、とても難しいですよね。

早くマスクがない日常が来てほしいのですが、まだしばらくはかかりそうです。

色々言ってきましたが、どんな美辞麗句を並べたところで、結局のところ人の思いを100%理解することなんて誰にもできません。

できないからこそ知識は必要なんじゃないかと思っています。

知識のない思い込みは、自分にも他人にもメリットはありません。

特に日本人は同調圧力がかなり強い民族で、みんなができていることができなかったり、少しでも周りと違う動きをする人がいると排除したがります。

でもそれでは世の中うまくいきません。

マスクができない人もいると知った今、そういう人もいると頭の片隅に置いておくだけでも、実際にその場面に出くわしたときに知る前までの感情より穏やかでいられるのではと思います。

 

コロナでキリキリした世の中になってしまいましたが、一人一人が他人への配慮を忘れずにいたいですね。

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