人間の命を救う「アラート犬」。一体何を知らせてくれる??

健康

人間のおよそ1000~1億倍の嗅覚を持つと言われている犬。

この優れた嗅覚で人間を救うため、日々訓練を受けている犬が存在します。

アメリカではかなり前からアラート犬と呼ばれる犬の育成に力を入れており、日本でも近年この方法を取り入れようと活動が広がっています。

一体どのような犬なのでしょうか。

病で苦しむ患者の支えに

実はこのアラート犬とは、飼い主の血糖値の異常をいち早く嗅ぎ取り、治療を促す役目を担った犬のことなのです。

つまり、糖尿病に罹患している患者さんに役に立つ犬です。

糖尿病には、遺伝子や生活習慣に関係なく比較的若年で突然発症する1型糖尿病と、遺伝や生活習慣などから引き起こされる2型糖尿病とがあります。(日本では糖尿病患者の95%が2型糖尿病)

アラート犬は1型糖尿病を抱える人に有効だと言われています。

1型糖尿病を発症すると、自分の体内でインスリン(糖を吸収する役割を果たす)を作ることができなくなり、毎日4回以上のインスリンを自ら注射して体内に取り込まないとならなくなります。

インスリンの量が少なかったり、分泌されても上手に働くことができなくなると、血糖が一定の値を超えて高い状態が続きます(高血糖)。

この状態が糖尿病なのです。

この状態を打破するためにインスリンを取り込むのですが、そこには「低血糖」という副作用が存在します。低血糖を起こすと汗をかいたり脈が早まったり…と様々な症状が現れるのですが、それがないまま低血糖を起こすことを無自覚性低血糖と言い、そのまま命を失う危険性があります。

出典:日本イーライリリー株式会社https://www.diabetes.co.jp/dac/type1-diabetes/insulintherapy-lowglucose

そこで血糖値の異常を犬に嗅覚で判断させる動きが出てきました。海外では血糖値を測定する前に犬が異常を知らせたという例もあり、その効果が期待されています。

犬の命を救い、人の命も救う

話は変わりますが、1年間に殺処分される犬が何頭くらいいるか想像できるでしょうか?

平成29年度は8,362頭の犬が処分されたと記録にあります。年々減少傾向にはありますが、多くの命が消えている現状です。

日本では、「認定NPO法人日本IDDMネットワーク」という団体が殺処分ゼロへのチャレンジなどの活動を続ける「ピースワンコ・ジャパン」という非営利活動法人と協力して、殺処分から逃れた犬を低血糖アラート犬にするために訓練を受けさせているそうです。

低血糖アラート犬 : 日本IDDMネットワーク 1型糖尿病・IDDM
インスリン注射が必須な1型糖尿病患者とその家族のために、全国の患者・家族会(セルフヘルプグループ)との連携を図りながら、糖尿病に関する正しい知識の啓発、療育相談、調査研究等についての事業を行う日本IDDMネットワークのページ。

犬の命を救い、その犬を人の命を救う犬に育てる。

とても素晴らしい取り組みが行われていることを今回初めて知りました。

まとめ

日本ではまだ実用化には至っていないアラート犬。でももうすぐ日本初の糖尿病アラート犬が誕生予定です。

この訓練には約3年間の育成期間が必要だそうですが、そろそろ3年を迎える犬がいるそう。

飼い主となる女の子に慣れさせるために度々面会も果たしているとのことで、一緒に住む日がお互いに楽しみなようです。

これをきっかけにアラート犬が日本にも浸透し、盲導犬のように公共の場にも連れて歩けるようになる日が1日も早く訪れますように。

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