小学生の拒食症が深刻化。ダイエット動画でエスカレートする危険も。

健康

拒食症は思春期以降の女性に多い疾患だったのですが、近年は徐々に低年齢化し、小学校中学年で発症しても不思議ではない病気になりつつあります。

一体なぜ成長期真っ只中の子ども達が拒食症に陥ってしまうのでしょうか。

拒食症とは

本人の意思に関係なく、身体が食べ物を受け付けないといった状態が続くことを拒食症と言います。

男性よりも女性の方が罹患者が圧倒的に多く(1:9)、「痩せているほうが美しい」というダイエットをきっかけに発症する率が極めて高いです。

自分で「太っている」と思い込んでしまう場合もあれば、身近な人の些細な一言から始まることもあり、無理な食事制限や絶食を繰り返した結果、身体だけでなく精神もやられていくという死と隣り合わせの恐ろしい病気です。

誰でもなり得る病

拒食症は、真面目な子・完璧主義者の子、のような何でも自分でできてしまう優等生タイプに比較的罹患者が多いと言われていますが、もちろんそのようなタイプに該当しないような子でも発症することは珍しくありません。

ダイエットをしたいと思ったことがきっかけになることや、過度のストレスがかかったことがきっかけになって拒食症が始まります。

一般的に、標準体重の65%未満になると即入院レベルとされています。

拒食症の兆候

拒食症になると治療に7年は費やすと言われるほど大変な精神疾患で、早期発見早期治療が何よりも大切です。

大人・子どもに共通する拒食症の兆候としては、

・食べたがらない
・食べても吐いてしまう
・体重が減ることに喜びを感じている
・低体温、低血圧、脈拍数の低下
・やたらと動きたがる

などがありますが、子どもの拒食症のサインとして、

・家族と食事を摂るのを嫌がる(食べないことがバレてしまうから)
・細かく切り分ける(食べた量をごまかせるから)
・体重が減る、伸びが悪い

など独特のサインもあります。

成長期にある子どもは、本来右肩上がりで身長も体重も増えていくのが自然であるのに対し、体重が横ばい若しくは減っている状態というのは異常です。

拒食症のみではなく他の病気の疑いも出てくるので、このような症状が出ている時には早めに小児科を受診しましょう。

拒食状態が続くとどうなる?

拒食状態が続くと、当然ながら栄養不足になります。

栄養不足になるということは身体が危険に晒されている状態です。

主に見られる症状は、貧血、無月経、低身長ですが、状態によっては不整脈や低血糖を起こし、死につながることもあります。

貧血が突然起こってどこかに頭を強打したら?

将来子どもが欲しいと思ったときに産めない身体になってしまったら?

大切な時期に栄養が足りずに最終身長が平均値をはるかに下回ってしまったら?

運よく回復したとしても、将来にわたり大きな影響を与える可能性があるのが厄介なところです。

周りの助けが必要不可欠

拒食症を発症して8カ月。身長140㎝で13㎏。

これは実際に拒食症で食べられなくなり、自力で歩くこともできずに救急搬送されたときの小学校高学年の女児の体型だそうです。

13㎏といえば、2~3歳児の平均体重。10代の女の子の体重では到底考えられません。

きっかけは昨年度。

コロナで臨時休校になったことでダンスレッスンに通えなくなり、体型が気になりだしたことから始まったとのこと。

幸い、緊急搬送後3カ月で倍の体重になったそうですが、拒食症は死につながることのある恐ろしい病気。

本人も「あんな辛い思いは二度としたくない」と語っているそうです。

(参照:“忍び寄る死”実感 拒食症女児、身長140センチ体重13キロで搬送

 

…不思議に思いませんか??

身長140㎝で体重13㎏になる前に、親は何で病院に連れて行かなかったの?って。

140㎝で20㎏でもガリガリですよ。

逆によく生きてたな…と思います。

 

これって精神疾患なので、本人ももちろんのこと周りも本当に大変なんですよね。

家族が拒食を心配して病院に連れていこうとすると「無理矢理点滴をされて体重増やされたら困る!!」というような思考に本人がなってしまって部屋から出てこなくなってしまうとか…。

自分の身体がいかに危険な状態かよりも、体重が増えることの方が怖いと感じてしまうようです。

もちろん拒食状態が長ければ長いほどに回復にも時間を要しますし、幼ければ幼いほどに影響が大きくなりますので、子どもの様子をよく観察することが必要不可欠です。

ダイエット動画が拒食症を助長

昨年度、コロナで休校になり自由な時間が増えたことで、小・中学生の動画視聴率が一気に高くなりました。

日中一人でいる時間が増えたため、親に見られることなくダイエット動画を真似することができた子どもも多かったようで、それがエスカレートして拒食症に繋がったケースが昨年度は多く見られたそうです。

子どもは良くも悪くも純粋です。

純粋にダイエット動画に共感し、純粋であるが故にストイックになりやすいという危険性もはらんでいます。

アメリカでは痩せすぎのモデルの起用を規制しているし、フランスでは痩せすぎのモデルを雇用させている企業に刑罰が科されます。

痩せている体型に憧れることも理解はできますが、自分を客観視できなくなるほどに食事制限に走るのはやはり異常です。

「あなたのありのままを愛しているよ」と包み込んであげることが一番の治療法なのかもしれませんね。

おわりに

この記事を書くにあたり拒食症について調べていたら、検索ボックスに「拒食症」と入れると続いて「なりたい」と表示されることに衝撃を受けました。

痩せたいから拒食症になりたい、と考える短絡さとその無知さ、そのように考える人の多さにガッカリするような思いになりました。

もしこれを子ども達が目にしたらと思うと恐怖です。

人は精神的にも肉体的にも健康でいなければ幸せな人生は送れません。

その両方をきちんと保っていけるよう、私達親は子どもをしっかり見守っていかねばなりませんね。

 

夏に向けダイエットを始める人が多くなります。

あなたのお子さんにももしかしたら変化があるかもしれません。

その変化を見逃さないようにしてください。

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