まだ5月だというのに私の住む地域ではすでに蒸し暑く、今日は半袖で過ごしています。
気温が上がってくると毎シーズン繰り返されるのが、子どもが車内で熱中症により死亡する事故。
乳幼児の熱中症での死亡は、その55%が車内で起こっているのだそうです。
親の身勝手で子どもを車内に放置するのは言語道断ですが、『うっかり忘れる』という事例も後を断ちません。
我が子を忘れて立ち去る親達
『一緒に車に乗ったはずの我が子を降ろすの忘れる??』と、親であれば誰もが抱く疑問かもしれません。
親の『うっかり』で大切な子どもの命が失われるなんてことが本当にあるのか…。
実は日頃から虐待が行われていた子供ではないのか…。
私もそのような感想を毎回持ち続けていました。
でも調べていくと、この『うっかり』は何も特別なものではなく日本でも海外でも起きていて、いつ誰に起きてもおかしくない事態であることがわかりました。
人はミスを犯す
人が何かをするときには、ミスはつきもの。
それが大切な仕事であろうと、我が子に関わることであろうと、ミスを犯す確率というのは0になることはありません。
我が子をどれだけ大切に思っていても、愛情深く育てていたとしても、『だから私は絶対にミスはしない』には繋がらないことをまずは自覚しなくてはいけません。
実際に、降ろし忘れで子を失ってしまった親(場合によっては祖父母)は、その子供をとても大切にしていた人が多いです。
特別な人が特別なことをやらかしたのではなく、自身の身に降りかかっていても何らおかしくない出来事であることを覚えておいてください。
ミスの原因は…
アメリカでは、車内に取り残され1シーズンに37人もの子どもが亡くなった年がありました。
原因を調査すると。その半数以上が保護者によるうっかりでした。
この現象は科学的にも説明ができ、あるサイト記事では、
この種のうっかりは神経学的な奇行によるもので、能力、知性、教育、性別、年齢、そのほかの特徴を問わず誰にでも起こりえます。脳と習慣とストレスを持つ人なら誰でも、子どもを車に置き忘れることは十分に考えられるのです。
参照:QUARTZ
と分析しています。
長年このテーマの研究を続けているサウスフロリダ大学の心理学者David Diamond教授は、この現象を【赤ちゃん忘れ症候群(forgotten baby syndrome)】と名付けています。
この原因は「脳と脳の対立にあるのでは」と考えられています。
脳の対立とは?
脳が対立するとは一体どういうことなのでしょうか。
人の脳内では、ものすごい数の情報が行き来しています。
例えば、〇時にこれをやってその後◇に行って、✖時には戻ってきて△を終わらせて…など、日々脳内の海馬と前頭前皮質がハイレベルで連携しているからこそ、人は毎日のスケジュールをこなすことができているのです。
ところがこのシステムは、ストレスや予想外の出来事が起こると途端に弱くなってしまいます。
予期せぬことが起こると、習慣的行動を司る脳幹神経節と感情処理を司る偏桃体がやろうと思っていたスケジュールをグチャグチャにするような働きをしてしまい、こなすことが難しくなってしまうことがあるのです。
つまり、ちゃんとこなそうとしていた脳と、何らかの出来事により刺激されてしまった脳がぶつかり合い、お互いを邪魔している状態です。
どちらが優先されるかは状況次第と言えるでしょう。
以前、お父さんがその日たまたま出勤前に保育園に子どもを送り届けることになったにもかかわらず、後ろに子どもが乗っていることをすっかり忘れて会社に行き、会社の駐車場内で子どもが亡くなっていたという事故がありましたが、普段の動きをしようとする脳に普段と違う動きをしようとする脳が負けてしまったということが考えられます。
たくさんのスケジュールを抱えているとき、イレギュラーな動きをしようとしているとき、考え事が多いときなどは特に起こりやすい傾向にあるようです。
人間はミスを犯す生き物です。
このような事故を防ぐためには、必ず車内を確認してから降車するという習慣をつけることが一番の防止になります。
大切な我が子を危険な目に遭わせないように、車から離れるときには必ず後ろを確認するようにしてください。
おわりに
毎年のように起こる車内での乳幼児死亡のニュースには、悲しみしかありません。
子どもが乗っているのに「あえて」置いていく親は論外ですが、「うっかり」やってしまった事故というのは親の無念さは計り知れないものだと思います。
危険なのは「私は大丈夫」と思い込んでいること。
「もしかしたら…」という危機感は、子育て中のパパ&ママさん達には持っていてほしいな…と思います。
今夏もまた似たような事故が起こるのでしょうか…。
熱中症で命を落とす子どもが一人でも少ないことを祈るばかりです。
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