パソコン、スマホ、ゲーム機、テレビ、蛍光灯、LEDなど、私達の身近にはブルーライトを発する電子機器が様々あります。
ブルーライトは浴びすぎると体内時計のリズムが狂ったり、目を疲れさせるなどと言われており、そのデメリットを少しでもなくせれば…とブルーライトをカットするメガネが販売され売上を伸ばしてきました。
子供用にもブルーライトカットメガネが販売されていたり、度数入りのメガネを作る際にオプションでブルーライトカット加工ができるなど、幅広く利用されてきたのですが、なんとブルーライトカットメガネは子どもに悪影響を与える可能性があるとの見解が眼科団体から発表がされました。
参考記事はこちら→ブルーライトカット眼鏡、子どもに「悪影響」 学会公表
一体どういうことなのか調べてみました。
ブルーライトはなぜよくない?
【ブルーライト】と聞くと、マイナスイメージを持たれている方も多いと思うのですが、ブルーライトを浴びることにより気力や活力が向上し、力がみなぎるなどのメリット部分も実はたくさんあります。
人間の身体は太陽光から出るブルーライトにより体内リズムを調整しています。
昔から『朝は太陽光を浴びるとよい』とされているのはそのためで、太陽の光を感じることで体調を整え『今日も1日頑張ろう』という気力にも繋がっています。
太陽の光には
・免疫力アップ
・骨の強化
・心身安定効果
・睡眠の質の向上
などの効果があり、人はその光によって健康を維持してきました。
ところが、近年ブルーライトを発する周辺機器が増えたことで浴びる時間が増え、体内時計が狂いやすくなってしまいました。
本来であればブルーライトが遮断されているはずの夜に、スマホを見たりパソコンを使ったりすることで身体が錯覚し、眠る時間が遅くなってしまう。
それが睡眠障害、不眠症、寝不足、など身体のリズムを狂わせていくきっかけとなるのです。
子どもの場合もテレビ、ゲーム、パソコンなどを使う機会が多く、ブルーライトが子成長にマイナスに作用するのではと懸念する親御さんは多いです。
それを少しでも解消しようと売り出されていたブルーライトカットメガネが、今窮地に立たされています。
子どもにブルーライトカットはやめたほうがいい!?
2021年4月14日、日本眼科学会や日本眼科医会を含む眼科6団体が『ブルーライトカットのメガネを子どもに推奨するのは懸念がある』とその見解を公表しました。
全文はこちら→小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見
なぜ子どもがブルーライトカットメガネを使用することを危惧しているかと言うと、
太陽光を十分に浴びないと近視が進むリスクがあるから。
発表された文書にもある通り、子どもは太陽を浴びることで心身の発育に好影響があります。
ブルーライトをカットするメガネを一日中装着することはその機会を逃してしまうことになり、それはブルーライトを浴びることよりももっと健康に悪いのではないか、ということを懸念しています。
ブルーライトカットメガネを使用するのは就寝前だけで十分では?との声も出ています。
大人も使用しないほうがいい?
発表によると、
・ブルーライトは曇天や窓越しの自然光よりも影響が少ない
・アメリカの科学誌には、ブルーライトカットメガネには眼精疲労を緩和する要素は全くないと報告されている
とも記されています。
ここだけ考えると「必要ないのでは」と思いがちなのですが、一日中ブルーライトを浴びているようなお仕事の方は使ったほうが目がラクだと感じている人が多いようです。
しかし先ほどご紹介した眼科団体の意見書には、「ブルーライトカットメガネに眼精疲労の軽減効果は全くない」と記載されています。
なんか矛盾があるな…と思いますよね。
実は『ブルーライトカットメガネには眼精疲労の軽減効果はない』という根拠となった実験にそのカラクリがあるようです。
この実験は「ランダムに選出された120人に2時間パソコンで作業をしてもらい、ブルーライトカットメガネを付けた場合とそうでない場合の眼精疲労の度合いを調べた」というもの。
その結果として「効果が全くない」と導き出されたようですが、たった2時間の作業でそれを結論付けちゃっていいものか、と個人的には思っています。
それじゃ1日中やった場合は?毎日8時間やり続けている場合は??お仕事でパソコンを使用する人の使用時間に照らし合わせた場合はどうなんだろう???と考えると、全く効果がないとは言い切れないのではないかと思います。(もちろん感じ方に個人差はあります)
実際にブルーライトを見続けることで目が疲れ、肩こりなどの原因になっているという文献は多く存在しますし、この発表だけを鵜呑みにして「じゃあブルーライトカットメガネって駄目なんだね」と結論づけるのは短絡的過ぎるのではないかと感じています。
最近はパソコンやスマホ自体に【ブルーライトカット機能】が搭載されていますのでメガネではなくそちらを利用すること方も多くなっていますが、一概に「メガネに効果なし」とは言い切れないだろうと思っています。
おわりに
この眼科団体の発表した文書で大切なことは、「ブルーライトカットメガネには効果がないよ」ということではなく、「子どもが装着した場合に悪影響となる可能性があるから気を付けてね」という“注意喚起”だということです。
「子どもは特にブルーライトの影響を受けやすい」とする見解がネットでも飛び交っており、「子どもの目を守るためにブルーライトカット加工されたメガネを」と購入された親御さんは多いことと思います。
今回の見解を受け「じゃあ買いなおさなきゃ」と検討される方もいらっしゃるのかもしれません。
この発表はメガネを使用する子供を持つ親御さん(私もです)にとっては衝撃的なものでしたが、果たして買いなおさなければいけないレベルなのかも含め、検討されることをオススメします。
今までいいとされていたものがある日突然ダメなものになる、というのはよくあること。
もしかしたらいずれ「ブルーライトカットメガネは効果が大きい」という意見も出始めるかもしれませんし、世間一般の流れではなく、ご自身がじっくり考えるべきです。
実は我が家は先週子どものメガネの度数変更にメガネを作り直したばかり。
バッチリブルーライトカット加工したのにこの見解…。
モヤモヤした気持ちはありますが、当分ブルーライトカットメガネ装着で我が家は突き進むことにします。
トホホ…。
コメント