「魚は丸ごと食べたほうがカルシウムが摂れる」
このようなことを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
私も小さいころ「骨を強くするために魚は丸ごと食べるのが良い」と親がよく言っていて、小魚とピーナッツが入った袋菓子やシシャモなど、骨ごと食べられる魚を定期的に食べていたような記憶があります。
ところが今、それは危険な行為になりつつあるようで…。
海の深刻な状態にあなたは気付いていますか?
海に起きている異変
テレビでも幾度となく取り上げられ、耳にすることも多くなった「海洋汚染問題」。
使われなくなったプラスチックごみが紫外線や波の力でどんどん小さく破壊され、5㎜以下~肉眼で確認できないくらい小さくなった「マイクロプラスチック」が主な問題となっています。
これを魚や海鳥、海洋哺乳類が餌と勘違いして食べてしまい、体を傷つける事例が後を絶ちません。
鼻にストローが刺さり抜けなくなったウミガメ
参照元:https://www.bing.com/
原因は全て、人間が作り、人間が使用し、人間が捨てたごみから発生しているのです。
身近な東京湾でも…
東京湾で取れたカタクチイワシの8割の内臓からマイクロプラスチックが検出されたことが2016年の東京農工大などの調査で発覚し、日本の海もプラスチック汚染されていることが明確になりました。
イワシだけではなくサバや貝類からも検出されており、これまでの調査を総合すると、東京湾に生息している魚の6~8割がマイクロプラスチックを体内に保有しているのではないかと見られています。
マイクロプラスチックを保有した魚を食べるとどうなるのか
「体内にもし取り込んでしまったとしても、プラスチック自体は身体から排出されるので問題ない」という専門家の意見もあります。
が、マイクロプラスチックが人間に及ぼす影響は現在まだ研究段階なので必ずしも害はないとは言い切れません。
どう食べる??
現段階では、食用魚1匹から検出されるマイクロプラスチックは微量で、多くても数個ほど。この量であれば食べてすぐに人体に影響が出るとは考えにくいそうです。
とは言え、プラスチックは海の中の有害物質をひきつけやすい特徴があり、これを魚が食すと脂肪に有害物質が溜まるとも言われています。
さすがに脂肪に溶け込んだ有害物質を取り除くのは無理ですが、できるだけ安心して食べるには…
とにかく内臓を食べない!
これに尽きます。
さんまのはらわたの苦みが好きな方もいらっしゃるでしょう。
シシャモを丸ごと食べるのが好きな方もいらっしゃるでしょう。
釣ってきた小魚をから揚げにしてビールと…というのがお好きな方もいらっしゃるでしょう。
しかし!!
現段階で、マイクロプラスチックは魚の内臓に溜まることは明確で、その部分を食すことはマイクロプラスチックを体内に入れていることとイコールです。
今はまだ数個程度しか1匹の魚から検出されないとしても今この瞬間にもプラスチックごみは私達の住む陸地から海へと排出されており、そう遠くない将来には魚1匹からのプラスチックごみ検出量も驚く量になるであろうことが予想されています。
プラスチックは体内から出ていくという説もありますが、一部は体内に蓄積するという見解を示す専門家の方もいらっしゃいます。
プラスチックは有害物質です。
体内に蓄積された場合、人間への影響は避けられないことでしょう。
今から少しずつでも、体内にプラスチックを取り入れない方法を真剣に考えていく必要があります。
子供は特に注意して
このような記事を書いておきながらって感じなのですが、つい先日スーパーで豆アジが大量に安く売られていたのを発見し、思わず購入してしまいました。
何の気なしに丸ごとから揚げにして家族で食したのですが、全部平らげた後にこのことに気付き、しばらく後悔してしまいました。
家族の健康は食事の作り手にかかっているといっても過言ではないのに、うっかり食べさせてしまうなんて。。。
でもまあ食べてしまったものは仕方がない。次から気を付けよう、ってことでそれ以降は普通サイズの魚を3枚おろしにして内臓を取り除いた状態で食べるようにしています。
プラスチックの影響が自分たちの身体にどう出てくるかはまだ詳細は分かっていないようですが、身を守るのはやはり自分達自身です。
危険かもしれないものをあえて口にする必要はないですよね。ましてや子供には食べさせられません。
プラスチックが原因で体内に影響が出るとすると、環境ホルモンの作用により生殖機能に問題が出るだろうとの指摘があります。
具体的には不妊や奇形児が懸念されていますが、何度も言うように今の段階ではプラスチックが私達人間の身体にどう影響するのか、はっきりとはわかっておりません。
魚の臓器に変形を確認
今度は魚のお話を。
魚はプラスチックを食して影響がないのか気になりますよね。
プラスチックは海の有害物質を吸着しやすいと先ほどお話ししましたが、イタリアの研究チームがそれを裏付ける実験をしました。
同じ種類の魚(ヨーロピアンシーバス)を2グループに分け、片方には「ポリ塩化ビニールで作ったプラスチック」を、もう片方には「ポリ塩化ビニールで作ったプラスチックを汚染された海水に付け込んだもの」を食べさせました。
すると2~3カ月後、汚染水に付け込んだプラを食べた魚の臓器の一部が著しく変形しているのが確認されたそうです。
これにより、プラそのものよりもプラに吸着した「有害物質」が魚の健康を害していることが実証されました。
食物連鎖の上位に行けば行くほどその濃度は上がることがわかっているため(生物濃縮)、人間が魚を食べる最終段階ではどれだけの濃度になっているのか非常に恐ろしいです。
しつこいようですが、マイクロプラスチックが人間に及ぼす影響はまだ研究段階なのではっきりとは解明されていません。
しかし影響があることを前提として一人一人が予防策を講じることは必要だと考えられます。
おわりに
おいしい魚を食べることに警戒心を持たなければならない日が来るとは…と少し複雑な気分で記事を書きました。
あまり過敏になりすぎることもないのかもしれませんが、そういう可能性もある、と知識として持っておくだけでも対応は変わってくるかと思います。
プラスチックは3R【削減(Reduce)、再利用(Reuse)、リサイクル(Recycle)】が環境保全のために必須。
自然を汚すことはいずれ自分達の生活にも跳ね返ってきます。
これ以上地球に負担をかけないよう、一人一人の努力が必要です。
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