低身長・心的ストレスを引き起こす“思春期早発症”。子供の早すぎる成長に周りの大人がいかに早く気付くかが改善のカギとなる。

健康

先日9歳の長女が「胸が痛いんだよね~」と言い出したので見せてもらうと、あれまぁ…。胸に小さな膨らみが!!

私自身も同じ頃に「胸が痛い」と母に見てもらった記憶があるのでその記憶が娘と重なり、小学校4年生だしそろそろそんな時期かぁ…と、娘の成長が嬉しくもあり寂しくもあり…なんとも複雑な気持ちです。

その直後、2歳下の次女(小2)が「私も胸が痛いんだよね~」と言い出し見せてもらうと、「えッ!?なんで!??左胸だけ膨らんでる!??」

姉と同じく胸の成長が確認できました…。

まだ7歳5か月。あまりにも早すぎないかとドキドキしながらネットで調べると「思春期早発症」という言葉にたどり着きました。

思春期早発症とは

一般的に男子なら12歳頃から、女子なら10歳頃から心身の変化が始まりますが、その変化がそれより2~3年以上早く訪れてしまう疾患が思春期早発症です。

人は生まれてから第一次性徴【精巣・卵巣の形成】、第二次性徴【精巣の発育・初潮(初めての生理)・声変わり・陰毛の生えなど】を経て大人になっていくのですが、その第二次性徴が早くやってくるのが特徴です。

100人に2~3人程度の確率で発症すると言われていますが、親が子供の変化に気付いていなかったり、気付いていたとしてもそれが疾患だと思わずに単に成長や個性だと解釈していたりで見過ごされていることも多いので、実際にはもう少し率は高いと考えられ、割合としては男子より女子のほうが3~5倍程度多いそうです。

この疾患が判明したとしても半数は経過観察にとどまり、実際に治療が必要のは患者全体の半数だと言われています。

思春期早発症の症状

思春期早発症は第2次性徴の特徴と全く同じですが、問題となるのはそれが始まる時期にあります。

男子の場合

・9歳になる前に精巣(睾丸)が発育する

・10歳になる前に陰毛が生える

・11歳になる前にわき毛、ひげ、声変わりがみられる

女子の場合

・7歳6か月よりも前に乳房の成長がみられる

・8歳になる前に陰毛が生える

・10歳6か月より前に初潮を迎える

もしこれらに当てはまる場合は、早期の受診が必要になってきます。

思春期早発症の原因

性ホルモンが何らかの原因で早期に分泌されるのがこの疾患の特徴ですが、同じ思春期早発症でも3つに分類することができます。

脳の中枢の疾患が原因となっている場合:中枢性思春期早発症

脳内の腫瘍や脳炎、水頭症などが引き金になっている場合があり、「中枢性思春期早発症」と呼ばれています。

精巣・卵巣の疾患が原因となっている場合:末梢性思春期早発症

性ホルモンは副腎でも生成されているのでその副腎に腫瘍があったり、性腺に腫瘍があった場合などに思春期早発症を発症することがあります。「末梢性思春期早発症」と呼ばれています。

原因不明:突発性中枢性思春期早発症

これといった明らかな原因がない状態を「突発性中枢性思春期早発症」と呼びます。女の子の患者の大半がこのパターンに当てはまるそうですが、男の子がこれに該当する場合には発見が困難な病気が潜んでいることが多いので注意が必要です。

【余談】

牛・豚・鶏などを早く市場に出すため、外国産肉は成長を促進させるホルモンを投与されていることが多いです。成長ホルモンを投与されて育った肉を人間が食することにより、動物が摂取した成長ホルモンがて人間にも作用して成長が早くなっているという例も数多くあります。

過去記事で詳しく説明していますので、興味のある方は参考にしてみてください。

こちら→安全性が疑問視される輸入肉。肥育ホルモンたっぷりで育った肉を安心して子供に食べさせられますか?

続編→肥育ホルモン剤どころじゃない…。アメリカ牛が育つ過程にも大いに問題があった!

思春期早発症が疑われる場合には

お子さんに気になる症状がみられた場合には、どこの科を受診したらいいのでしょう。

小児科?泌尿器科?婦人科?乳腺科?内分泌科?脳神経外科?…色々迷うと思います。

後でご紹介しますが思春期早発症の治療を開始するとなると一つの科では完結せず、複数の科での検査が必要となってきます。それぞれの結果を総合して治療を開始すべきか否かを判断していくので、最終的には総合病院などの大病院でお世話になることが一般的です。

しかし大きな病院は紹介状が必要なことも多いのでまずはかかりつけの小児科に相談に行きましょう。

小児科医の先生はたくさんの子供達を長年にわたり診てきていらっしゃるので異常にはすぐに気付くことが大半です。小児科医の目からも思春期早発症が疑われる場合にはすぐに紹介状を書いて頂けるのでまずは受診してみましょう。

思春期早発症の検査って何をするの?

思春期早発症が疑われ、かつ治療が必要かもしれないとなったときにはいくつか検査を受けます。

問診…いつからどのような症状が出始めたかを聞き取ります。

観察…身体の発達がどの程度まで来ているのかを成長曲線などを参考にしながら全身の診察をします。

MRI検査…脳内に腫瘍がないか調べます。

超音波検査…精巣または卵巣に腫瘍がないか調べます。ごくまれですが遺伝子によってこの疾患が起こることがあるので必要な場合には遺伝子検査も行われます。

骨年齢の検査…骨は、性ホルモンが分泌されることによってどんどん成熟していきます。手及び手首のレントゲンを撮影し、骨がどの程度成熟しているのか調べます。

内分泌検査…分泌されているホルモン値を測定するため、血液検査をします。

これらは1泊の検査入院で行われることが多いです。

思春期早発症の治療って?

腫瘍が確認された場合

脳・精巣・卵巣・副腎等に腫瘍が確認されたときには、その腫瘍が起因となって思春期早発症を発症している可能性が高い上、今後の生活に支障をきたすこともあるのでその腫瘍を摘出する手術が行われます。ただし、その腫瘍が明らかに良性で今後肥大する可能性がない場合には、手術による心身のダメージを考慮して摘出はせず、性ホルモンの分泌を抑える治療を選択することもあります。

それ以外の場合

4週間に1度のペースで性ホルモンの分泌を抑制する注射を病院で受けます。この治療を受けることで成長スピードが緩やかになり、骨の成長も長く持続することが期待できます。

なぜ成長をコントロールしなくてはいけないのか

私の友達の子供(小5男児)がこの疾患を持っているのですが、疾患がわかり、検査を受け、治療が必要だとの診断を受けた当時「なぜ成長しているのにそれを止めなきゃいけないんだろう。今伸びるだけ伸ばしたらダメなんだろうか」と思っていたそうです。

実際そのように感じるご両親は多いようです。

それ以前にこのような疾患があることを知らないために、「成長が早いだけ」「成長は喜ばしいこと」と感じ受診すらしない、その結果治療までたどりつかない、若しくは親が気付いた時にはすでに成長しきった後だったということも多いのが事実です。

なぜ治療が必要か

腫瘍による生命の危険を回避する

特に脳内に腫瘍が見つかった場合には命に関わってくることさえあるので早期治療が必須です。

低身長を防ぐ

男の子の場合、4歳頃~思春期を迎える頃(11歳前後)までは年間5~7cmずつ身長が伸びていくのが一般的です。11歳頃~思春期は一気に年間で8cm~9cmの伸び率となり、成長のピークは2年ほど続きます。ピークが過ぎた後は徐々に伸び率は低迷し(年間1~4cmほどの伸び)、17歳~18歳でその成長は止まるのが一般的です。10代前半~成長が終わる18歳頃までに身長は約20~25cm伸びます。

【例】12歳0か月の男の子の身長の平均は約150cmだそうです。思春期を迎え、約20cmほど伸びるとすると、 150cm(12歳時)+思春期(20cm)+低迷期(ここでは6cmとします)で最終的に176cmとなります。

※ あくまで一般論であり、成長や成長の時期には個人差があります。遺伝、食生活、おかれた環境、ストレスなどが大きく起因するため必ずしもこの通りではありません。特に強いストレスは成長ホルモンの分泌を阻害するため身長の伸びに影響します。

ところが思春期早発症だと身長の伸びのピークが早くに来てしまうため、例えば8歳から成長期(思春期)を迎えたとすると128cm(8歳男児の平均身長)+思春期(20cm)+低迷期(ここでは6cmとします)で最終身長が154cmとなってしまうのです。

つまり、伸びがピークを迎える時点でどれだけ身長があるかが最終身長を左右するのです。

だからピークを迎える前までに1cmでも多く身長を伸ばしておく必要があるのです。

そのために少しでも発達を遅らせ、ピークの時期をずらさなければなりません。

ここでは男の子を例に出しましたが、女の子でも同様のことが言えます。

「思春期早発症」で検索すると10代のお子さんの投稿をよく見かけます。低身長で悩むのは、男の子にも女の子にも共通する事項のようです。

本人の心理的ストレスを和らげる

男の子にも身長の伸びだけではなく声変わり、わき毛や陰毛の生えなど体の変化はありますが、女の子は特に変化に敏感なので周囲の目を気にしてしまう子が多くいます。

胸のふくらみも外見からわかりますし、8歳や9歳で初潮を迎えたとしたら月に1度友達がまだ経験していない面倒で大変なことをずっとこなしていかなければなりません。トイレに長い時間こもって何をしているのか、まだ理解していない子もこの年齢には多くいるのが当たり前です。

小学校高学年あたりからは、特に女の子はみんなと同じかそうでないかがとても重要だと感じる時期が出始めます。

人の目が気になったり、自分の身体が好きになれなかったり、心理的ストレスがこの疾患により増幅することもあるので、メンタルを正常に保つ意味でも早期の治療開始が重要になってきます。

治療開始が早ければ早いほど本人の心の負荷も軽くなりますし、なにより治療効果も高まります。

治療はいつまで続く?

その子の年齢や成長度合いにもよりますが、平均的な思春期を迎える時期までは治療を続けることになります。最終的な身長を予測しながら続けていくので、治療を終えるタイミングは人により多少前後します。

治療を終えてから数カ月~1年前後で治療開始前の二次性徴レベルに戻り、男の子は治療を終えてから2年~3年で成人男性並みに身体が発達していきます。

女の子の場合は治療開始年齢や治療開始前から生理があったか否かにもよりますが、治療を終えて数カ月~2年以内に生理が来ることが多く、その後どんどん成熟していきます。

女の子の場合はホルモン療法をすることにより骨を強くするエストロゲンの分泌を抑えてしまうことから将来骨粗しょう症が心配され、男の子よりも治療を早めに終えることが多いようです。

治療終了後に成長が思ったように進まない場合は今までとは逆に成長を促す注射を打つこともありますが、このケースはまれで大半が健常児と同じような発達曲線を描いて自然に成長していきます。

ホルモン療法は安全なの?

自然の流れに逆らって人工的にホルモンの分泌を操作することは抵抗のある方も多いと思います。

特に気になるのは治療をしてもその後身長はちゃんと伸びるのか、女の子の場合は将来の妊娠・出産に問題がないのかということ。

まず治療後にきちんと二次性徴が戻るかということですが、健常児とほとんど変わらない大きさにまで伸びたという報告が大半を占めていますので、そこに関する心配はほとんどしなくていいと言えます。

心配があるとすれば、性ホルモンの分泌を抑えたために起こる一時的な骨密度の低下(骨の弱さ)です。

しかしたとえ骨密度が低下したとしても治療を終えればまた骨密度は元通りに戻るとされていますのでそこまで問題になることはありません。

次に妊娠・出産についてですが、治療をやめた後に初潮を迎えたり治療前にすでにきていた生理が再開してから2~3年で、ほとんどの人が通常のように排卵を伴う月経を毎月迎えることになるので、この治療をしたことが原因で不妊になるとは考え難く、妊娠・出産に影響はほぼないとされています。

疑いがあっても経過観察になることも多い

思春期早発症に該当する変化が起こっていたとしてもその変化が緩やかな場合には治療は開始せずに経過観察になることがあり、患者全体の約半数は治療を見合わせていると言われています。

あまりにも明らかな成長がみられない限りはかかりつけ医も一定期間の経過観察を指示してくるので、診察ごとに成長がどの程度なのかきちんと見ていくことが大切です。

我が家の次女は乳腺科と小児科に行ったのですが、どちらの先生も「ちょっとした環境の変化やストレスが刺激となりホルモンが分泌されて一時的に胸が膨らむことは珍しいことではない。数カ月で元に戻るのでは」との診断でした。

この春夫の転勤で環境がガラッと変わったし、コロナで学校にも外にも出られないし…そのストレスがあったのかな…。引っ越して半月ほどで体に変化が出始めたからストレスのピークだったのかな…と色々考えてしまいました。

この一時的な胸のふくらみは男児にも確認されるそうで、多くの場合は時期を過ぎれば元通りになるんだとか。

ちなみに私の友達の子(男児)の場合は、小2の時点ですでにわき毛や陰毛が生えていて、小3になってすぐに声変わりをし、身長が150cmに到達していました。幼児期から人一倍大きかったのでさほど気にしていなかったそうですが、小学校3年生時の健康診断で「成長があまりにも早すぎる」と校医から指摘を受け、初めて異常に気付いたそうです。

その後小学校の健診結果を持ってかかりつけ小児科医を受診→小児科医からの紹介状を持って総合病院を受診→検査入院→治療開始となりました。月1回の注射を受け始めてから3カ月ほどで成長スピードが緩やかになったそうです。

心配のし過ぎもよくないですが、気になることがあれば早めに病院へ行きましょう。

何もなければそれで安心できるし、何かあったとしても早い段階で見つかったことに感謝できます。

一番避けたいのは気付いていながら(疑いを持っていながら)受診を先延ばしにすることです。今後後悔が付きまとうことになる可能性もあるので、子供の心身を守るためにすぐに行動してあげてくださいね。

おわりに

「最近の子供は昔の子供に比べて成長が早い」とよく聞きますが、あまりにも早い成長には注意しておかなければなりません。

最終的にみんな思春期を迎えぐんぐん成長する時期が来るのですが、それには適した時期があります。

治療で改善できる疾患なので、気になることがあれば早めに診断を受けましょう。

それから、子供が嫌がらない間は月に1度でもいいのでお子さんと一緒にお風呂に入って子供の身体に変化が起こっていないかチェックすることをお勧めします。

しつこいようですが、この疾患は早期治療が必須です。

将来子供が悩まないためにも、親が子供の健康観察をしましょう。

 

世の中の子供達が健やかに成長しますように…!!

 

 

 

ホルモンをキャラクター化してわかりやすく解説している本です。
ホルモンが自分の身体にどう作用しているのか理解しやすく書かれているので、高学年くらいのお子さんでも楽しんで読むことができますよ☆

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