子育て経験のある親御さんであれば「叱る子育てと叱らない子育て。どちらが子供のためなのか…」と一度は悩んだこともあるのではないでしょうか。
子育てに正解はないのでどちらがいい・悪いとい明確な答えはないのですが、育児の過程は違いつつも共通するゴールはどちらも同じだと思うのです。
それは…子供が将来自身の力で生きていけるよう、自立のためのサポートすること。
この一点に尽きるでしょう。
よりよい人生を送るためには、自ら考え行動する力が欠かせません。
子供の自主性を尊重するとは?
「子供の自主性を尊重することは大切」と聞いたことはないでしょうか?
子育てしている人であれば耳にしたことがある方がほとんどかもしれませんね。私も今まで何度となく聞いてきました。
では、「自主性を尊重する」とは具体的にどんなことでしょうか?
子供の思いのままに自由にやらせること。…ではないですよ!!
特に叱らない育児を推奨している親御さんにこの部分の意味のはき違えが目立ちます。子供が好き勝手やっても叱らない。他人に迷惑な行為をしていても叱らない。これは叱らない子育てではなく単なる「甘やかし」です。親は子供を尊重しているつもりでも、周りから見れば「自分第一主義のわがままな子供とそれに従う親」にしか映っていません。
このような育てられ方をした子は、幼稚園や小学校などの集団生活になじみにくいという面を持つことが多いです。
ダメなことはダメときちんと理解させることが大切です。
「自主性を尊重する」の意味
長年子育てに携わってきた保育士さんがおっしゃるには、子育てにおける自主性を尊重するというのは「大人の当たり前を子供に無理にあてはめない」ということだそうです。
例えば、子供が人間の絵を描くときなどに、目の位置や鼻の位置、手足の位置などが本来の位置ではない場所に描かれていた時など、「それは違うよ。目はここで鼻はここだよ」などと絵を訂正させたり間違っているとわざわざ認識させなくてよく、これはこれでいいよね、と認めてあげることなんだそうです。色にしても、本来赤いポストが緑に塗られていようが、猫がピンクに塗られていようがそれは子供の感性なのでそれはそれでよしとしてあげることが大切。
子供が感じるままに表現していることを認めてあげることで、またやろうと思えたり、「あれ?本来と何か違うかも?」と自分で気付いて訂正できたりと、「自分でやろうとする力」が培われていくのだそうです。
辞典にも
自主性とは、他人からの干渉や保護を受けず、独立してことを行う態度・性質のこと。
明確に定まっている「やるべきこと」を人に言われる前に率先して自らやる(行動する)こと。
と定義付けされています。
自主性の育たない子供の背景に…
「子供に失敗して傷ついてもらいたくない、自信を持って生きていてほしい」という親心からなのか、子供の問いにベストアンサーをすぐに出してしまう親御さんが結構いらっしゃるんですが…。これは本当に危険です。
常に親が先回り、常に親が子供にベストな状態を作っているとしたら、親がいないと何もできないような人間に育っていってしまいます。
それでは自主性とは正反対の「言われたことしかできない人間」が出来上がるだけ。
以前テレビで子供をダメにする親の特徴というのをやっていたのですが、
「過保護・過干渉な親」が子供を一番ダメにするそうです。
先回りして手を差し伸べるのではなく、自分で考えさせ、自分で行動させる癖を幼いころからつけていくことが子供の将来にはとても重要です。
子供のためを思うなら、子供のレールを親が敷かないこと、です。これ鉄則。
余談ですが…
私の親戚(30代半ば男性)は過保護・過干渉な家庭で育ちました。生まれた頃から二世帯住宅に住んでいたため、祖母&母親に特にかわいがられ、幼稚園時代には担任の先生から「だいぶ甘やかされて育っているようですね」と指摘を受けたほど。いつも先回りで誰かが何かをしてくれていたため、彼は自主性も積極性もほとんどない子供でした。
そんな彼が中学生になり同級生からいじめを受けるようになりました。いじめっ子に抵抗も反論もせず耐える日々。いじめを受けていることを誰にも申告しなかったため気付くのが遅れ、中3になる頃に母親が気付いたようです。
いじめっ子から離れるべく母親の勧めるまま私立の高校に入学、大学、大学院へと進み就職活動へ。しかしどこを受けても受からない。おそらく100社は軽く断られていたと思います。これはまずいと思った母親は手あたり次第知り合いに就職口がないか探し求め、ようやく母親が探し出してきた知り合いの会社へ言われるまま勤めています。そこでも社会人いじめに遭ったり散々な思いをしているようですが…。
実家暮らしのため家事の全てを母親頼り。洋服も下着も自分で買いに行かずに母親が購入してきたものを文句も言わず着る始末。10年ほど前から母親に勧められるまま、母親お膳立てのお見合いをしては惨敗しています。
子供のためにと彼の母親は頑張ってきたとは思いますが、どうですか?彼は幸せそうですか??
失敗してもいい。むしろ失敗した方がいいかも?
子供を愛していればいるほど、子供が傷付く姿や失敗しているシーンを見たくないと思う親御さんの気持ち、よくわかります。私も我が子の発表会や参観日はおそらく本人以上にドキドキしていました。
でも、でも…。
一度も傷つかずに、一度も失敗などせずに一生を終えた人っているんでしょうか?一生とはいかないまでも何もなく大人になれた人っているんでしょうか?
おそらく、世界中のどこを探してもいないのではないでしょうか。
親が肩の力を抜こう
私は失敗はたくさんしていいとここ数年で思うようになりました。小さい頃から失敗をたくさんすればいいと思っています。
失敗してわかることもある。
失敗した原因を考えるきっかけにもなるだろうし、人の思いに気付くこともあるかもしれない。
もちろん失敗だけではなく成功体験もたくさん積んで、自分に自信を持てる子になってほしいとも思っていますよ。でも成功体験のみでは見えない部分が多すぎるから、失敗という経験を通じて自分をもっともっと高めていってもらうことも成功体験と同じくらい重要視しています。
大事なのは失敗から学ぶことだと思います。成功に至らなかったのは何がいけなかったのか、どうすればよかったのか、今後どうしていくのが最適なのか、自分で考え次に繋げていくことがその子の将来の力になると思っています。
親だって同じ。
今までいいと思っていたことが実は違うかもしれないと思ったときには軌道修正したらいい。子供を叱りすぎちゃって反省することがあったっていい。
自分にも子供にも完璧を求めないことが円滑な親子関係や家庭環境を築くポイントだと思います。
失敗することを恐れないこと。これは親子ともに言えることです。
子供の失敗を認めてあげていますか?
幼い子供の世界は学校(幼稚園)と家庭が主であり、特に親からの言動は子供にダイレクトにのしかかるもの。褒められたこと、叱られたことは子供の心に大きく響くため、親の言葉一つ一つが子供の原動力になると言ってもいいくらい重要な役割を持っています。
人生の先輩でもある親は、子供にいい人生を歩んでほしいがためにいい成績を期待したり、夢を託すようなこともしがち。
子供がちょっとでも失敗したら「何でなの!?」と叱責したり、言葉では表さなくてもあからさまにガッカリした態度をとっていたりはしていませんか?
子供はこちらが思う以上に敏感で傷つきやすいです。「失敗が怖いから最初からやらない」と考える子供もいるくらいです。
1番ダメなことは、失敗することではなくチャレンジしないこと。
これはそうですよね。挑戦しなきゃ何も始まらない。
で、挑戦しようとすらしない子供は子供自身のやる気がないというよりも、
チャレンジすらできない環境にしてしまっている親が悪いと思っています。
つまり、失敗をマイナスなことだと思っている親が子供の好奇心、やる気を削いでしまっているということです。
子供だって失敗するためにチャレンジするわけではありません。子供にだって成功するかしないかはわからず、それでも挑戦しようと思うことは一種の賭けのようなもの。勇気を振り絞って一歩を踏み出した結果「失敗」だった。それを親からがっかりした目で見られたり叱責でもされようものなら「やらなきゃよかった」になってしまいます。そしていずれ「怒られるの嫌だから最初からやめておこう」へと繋がり、スタート地点にも立たない状態が当たり前へとなっていくのです。
結果として失敗したとしても、チャレンジしようとした気持ちはキッチリ褒めて認めてあげる。それが次のチャレンジへ導くきっかけになるでしょう。
子供が失敗した時にこそ、親には寛容さが必要なのです。
「失敗したって次がある!」とドーンと構えているのがちょうどいいくらい。
親が子供の失敗を怖がっていては、子供は安心してチャレンジできませんよ!
おわりに
「子供に自分以上を求めないこと」。
これは両親にとって初めての子供となる私が生まれたときに、祖母が私の母に言った言葉だそうです。
「自分以上を求めることは、育てる方も育てられる方もどこかでだんだんキツくなってくるから」という意味を込めて言われたそうで、完璧主義者の母と、その母に育てられる私の今後を思っての言葉でした。育児真っただ中の時は埋もれていたその言葉が、実はとても重要なことだったんだとようやく理解した、と私が20歳を超えた頃に母は言っていました。
親はどうしても我が子を自分の分身だと思いがち。でも血の繋がりは合っても分身ではありません。完全なる別の人間です。
この人間が今後幸せに生き抜いていくために親は何をしてあげるのが最適なのか。
そこをはっきり線引きしないといつまでも子供は「親の所有物」になってしまいます。
個人を認め、尊重し、経験させ、考えさせる。
いつも親のレールに乗っているばかりでは、生きていく上で大事な部分が欠落したまま成長してしまいます。
「これをすることが本当にこの子のためなのだろうか」を常に意識して子供に接することが本当にかかせません。
その時真剣に考えてやったことがたとえあとから失敗だったと分かったとしても、それは失敗ではないと思います。その時のベストを尽くした結果なのですから。
親子とも、失敗を恐れず、常に前向きで頑張っていきましょう!!
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