このコロナ禍で生活がしづらいと感じている方は多くいらっしゃると思いますが、その代表と言えるのが聴覚障害をお持ちの方達かもしれません。
相手の表情や口の動きからコミュニケーションをはかってきた彼らにとっては口周りが隠れてしまうマスクはコミュニケーションを断絶されたようなもの。
このコロナ禍で嫌な思いを経験したという方が多いのが現状です。
聴覚障がい者の25%が「嫌な思い」
昨年の11月、関西大学の近藤誠司准教授の研究室が発表したアンケート調査によると、聴覚障害を持つ人の4人に1人が「コロナ禍で嫌な思いをした経験がある」と答えたそうです。(滋賀県草津市在住の聴覚障害者328人を対象に9月1日から10月7日にかけて実施し、157人から回答を得た。)
具体的には、
・マスクをはずしてとは言えない
・聞こえづらいので顔を近づけると嫌がられた
という、切実なもの。
コミュニケーションがとても取りづらくなり苦労していることが判明しました。
教育の現場でも
保育園など、まだおしゃべりの上手くできない子ども達を預かる施設でも、マスクは非常に邪魔な存在だったようです。
子どもも同じく口の動きや表情などから相手の情報を得るため、常に口元が隠れている状態ではなかなかコミュニケーションが取りづらかったり言語の習得が遅くなったりなど弊害があったようで、言葉は耳からだけではなく視覚からも学ぶものであることがコロナ禍で改めてわかったような気がします。
昨年度、次女の担任の先生が透明のマスクを着けていたのを見て不思議に思っていたのですが、クラス内に難聴のお子さんがいらしたらしく、その子に話していることを理解させるためにそのマスクを着用していたことを後から知りました。
健常者にはたかがマスクでも、マスクをされると困る人がいるということをみんなが共通認識として持っていけるといいなと思います。
透明マスク、需要の高さが浮き彫りに
昨日、衛生用品の大手メーカーであるユニ・チャームが27日より透明マスクを販売するとの発表をしました。
記事はこちら→口元が透ける「顔がみえマスク」、ユニ・チャームが発売
口元や表情を見ながら相手とのコミュニケーションをはかる機会の多い聴覚障害者や言語障害、乳幼児などは、通常のマスクでは口元が隠れてしまい相手が何を伝えようとしているのか理解することが困難だったため、それらの問題の解決の糸口になればと商品開発をしたそうです。
今までも透明のマウスシールドは数々あったものの、上下に隙間があるタイプのものが多く、話したとき、くしゃみ、咳をしたときの飛沫が周囲に飛び散り、その効果には疑問がありました。
今回ユニ・チャームが発表した『顔がみえマスク』は、透明フィルム部分に曇り止め加工を施し、相手の表情がしっかり見えつつ、マスク本来の目的である飛沫を飛ばさないという設計もされています。
1枚1480円で手洗いで繰り返し使用が可能とのことで、昨日から販売されたにもかかわらず初日ですでに完売という盛況ぶり。
今後販売を再開するかどうか注目が集まっています。
おわりに
長引くマスク生活の中で不便さを感じていましたが、それ以上にマスクに生活を阻まれている人達がいると知って、とても大変な時間を過ごされてきたんだろうな…と頭が下がる思いになりました。
近くにそのような方がいらっしゃらないとわからないことも多いので、今回のユニ・チャームの新商品は、そういう方達を知ってもらうための一つのきっかけになったのではと思います。
コロナに振り回されていますが、そんな中でも互いにコミュニケーションがとれるよう、助け合いたいものですね。
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