子供の脳の成長には母親の愛、人格形成には父親の愛が大きな影響を与えている!

育児

子供の脳の成長には母親からの愛情が大きく関係していて、子供の人格形成には父親の愛情が影響しているという研究結果をご存知でしょうか。

子供を将来有望な子にするために幼いころからお勉強をさせたり「この時期までにこれができなきゃダメだ」と焦ったり…。成長させる過程で「これが子供のため」と親の願望を押し付けてしまった経験のある方も多いのではと思います。

でもいわゆるテストで計れる「お勉強系」の差は後から埋めることも追い抜くこともできますが、親から愛情を受けることで培われた目には見えない「心の成長」の差は後から埋めることも追い抜くこともできません。一生差がついたままです。

親の愛情が子供の人格形成にどう関わっているのか見ていきましょう。

愛情に比例するように子供の脳は発達する

母親から愛情深く、十分にサポートされて育てられた子どもは、そうでなく育てられた子どもに比べて、脳の成長が2倍以上早い」

ワシントン大学の研究グループが3年前にアメリカ科学アカデミー紀要に発表した研究結果です。ジョアン・ルビ博士の研究グループが92人の子供を被験者とし脳をMRIでスキャンして調べると、親の愛情やサポートをしっかり受けて育った子供はそうでない子供に比べて脳の海馬が10%近く大きかった、という結果が出ました。それだけでなく海馬の容積に2倍以上の差があることもわかり、幼少期の親と子の関わり方が脳へかなりの影響を与えていることが実証されています。

脳の「海馬」という部分は記憶や学習能力に関する器官で、海馬が発達した子供ほど学習能力が高いことになります。

10%近くの海馬の成長の差、2倍以上の容積の差…この差を埋めるために子供がある程度成長してから親がたくさんの愛情を注いだとしても、幼少期に十分な愛情を受けずに育った子はその成長に追いつくことはできないということも研究からわかっています。

愛情を十分かけてこられなかった子の脳は脳自体のサイズが小さく、脳室(脳の内部にある脳脊髄液で満たされた空間)が肥大し、大脳皮質(知覚・思考・判断・意思・感情・本能・自律神経・記憶を司る)の組織が委縮していることが多いそう。

脳のサイズが大きい子供は知的で社交性が豊かに育つ可能性が高く、脳のサイズが小さい方は薬物中毒・暴力犯罪などを犯したり、失業して生活保護を受ける可能性が高くなるのだとか。

海馬の成長スピードは就学前にほぼ決まり、幼少期の経験が子供の成長、その後の人生にも大きく影響するという事実。子供を育てる環境がいかに大切かを痛感させられる研究結果ですね。

人間の脳は6歳までに90%、12歳までに残りの10%が完成する

「6歳までに子供に有効な子育てをしてきたかな…」「今からじゃ遅いの?」と不安になってしまう方もいらっしゃるでしょう。確かに6歳までの環境はとっても大切ですが、それ以降の環境でも子供の脳の発達に影響を与えます。

身体の部位が年齢によりどのように発達していくかを示した「スキャモンの発達・発育曲線」のグラフによると、身体はゆっくりと成長していくのに対し、脳の発達(神経型)は6歳ごろまでに急激な発達をし、その後はなだらかな上り坂になることがわかります。6歳を過ぎても完成するまでの数年間も発達するのです。

幼少期にスポンジのように色々なことを吸収していると言われるのはこのグラフでよくわかりますね。(水色の線が脳の発達に関係している曲線です)

大切な生まれてからの12年間。親の役割は子供に知識の「詰め込みをする」ことではなく「持っている能力を引き出してあげること」にあります。勉強だけでなく、自然の中での体験やスポーツなども脳にいい刺激を与えるそうです。機会を与えてあげることは親ができる最大のサポートかもしれませんね。

人格形成には父親の影響が大きい

脳の発達には母親の関わりが影響を及ぼすことがわかりましたが、人格形成には接する時間の長い母親よりも父親との関係で形成されることがコネチカット大学のロナルド・ローナー氏の研究によりわかっています。

母親は子供そのものを無条件に愛する「慈愛」と呼ばれる愛情を注ぎ、情緒の安定や感性の発達などを促しますが、父親の愛情は子供の「社会性」を促進する役割を果たします。善悪、規範、協調性など集団生活に欠かせない能力を身につける手助けをするのが父親。時に厳しく接するのも、子供を社会から脱落させずに生き延びさせるための父親の愛情であり本能と言えるのかもしれません。

父親の愛情をたくさん感じて成長した子供は、幸福感や充実感をより強く持つ傾向があり、そうでない子は攻撃的で情緒不安定という特徴が出るのだとか。母親の愛情不足よりも父親の愛情不足を感じたときの方がその傾向が強く出るという調査結果が出ているのも驚きです。

他にも「父親との関係が良好な子どもは、学力が高く、良い友人関係を築け、問題行動や犯罪行為が少ない」というスウェーデンの研究結果や、「父親が子どもに多く関与すると、子どもの認知機能と学業成績が向上し、問題解決力、忍耐力、感情コントロール、責任感、社会的発達、人間関係力に好影響を与える」というカナダの研究結果も示されています。

愛情の使い分け

子供を愛する気持ちは父母同じでも、愛情の種類は少し違うようです。

母親の愛は子供の全てを受け入れる「優しい愛情」であるのに対し、父親の愛は困難に打ち克つ力を養うための「厳しい愛情」だと言われています。

この2つの愛情はどちらも子供の成長に欠かすことはできないとても重要な要素です。

愛情の与え方としては、母親は子供に触れ合いお互いの温もりを感じながら愛を育む、父親はとにかく子供と接する時間を多く持つことだそうです。

とは言え、片親しかいないお子さんもたくさんいらっしゃるのが現実。

その際は子供の傍にいる大人が「優しい愛」と「厳しい愛」をバランスよく出して接することが子供にとって有益。傍にいる親がたとえ一人でも、この2つの愛情を上手く操ることで役割を果たすことが大いに可能です。祖父母でもその役割を果たせるので、子供の成長に積極的に関わりを持ってくださいね。。

時に厳しく、時に優しく。子供の成長のために意識して使い分けましょう。

終わりに

脳の発達と人格形成。母親と父親それぞれに成長過程での役割分担がきちんとされていたことに驚きました。自分自身、今までの子育てを反省する点が多々あり、今後の子育てに役立てていこうと思っています。

子供の成長に必要な両親の存在は、両親が仲が良いことが基盤にあります。不仲だとそれだけで子供は不安だらけになってしまい、成長にブレーキがかかってしまいますので…。

子供を取り巻く環境をできるだけいいものにできるよう、お父さんもお母さんも日々の努力が大切。

子供の命を授かるというのは、ただ身体を大きくさせるわけではない。同時に人間としての心・脳の成長にも親の責任が大きくのしかかってきます。

 

一人でも多くのお子さんが、愛されて育ったという実感を持って立派な大人へと成長できますように。

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