胎児は化学物質の影響を受けやすい!影響を少しでも避けるために今すぐにできることとは。

健康

近年、化学物質過敏症を発症する人が多くなってきました。

建物に使用されている建材や塗料、田畑に撒かれる農薬、家庭で使用されている洗剤類など発症の原因は様々ですが、子供にはよりその影響が出やすいそうです。

しかしもっと影響が出やすいのは実は胎児。

今回は化学物質が胎児にどのような影響を与えるのか見ていこうと思います。

子どもは化学物質に弱い

大人と比べると子供は化学物質の影響を受けやすいと言われています。

その理由として、

①体重1㎏あたりで見た時に、大人より子供の方がより多くの空気を体内に取り込む上、水や食べ物の摂取量も多い。

②成長過程にあるため、化学物質を代謝・無毒化する能力が不完全。

③発達に個人差があるため、どの時期にどのような物質に強い反応が見られるのかなどが把握しづらい。

④身長が低く床に近い分、下に堆積している化学物質を吸い込みやすい

などが挙げられます。

妊娠時は特に注意

子どもの中でも特に胎児はその影響を顕著に受けやすいです。

胎盤は胎児を毒物や有害物質から守る役割も任されているのですが、アルコールやニコチン、一部の化学物質は胎盤を通過して胎児に直接影響を及ぼすことがあります。

例えばお母さんが吸った空気に化学物質が微量でも混ざっていた場合には、その空気は胎盤を通じて胎児にまで到達してしまうのです。

化学物質の中には、ホルモンと似た作用だったりホルモンの動きを邪魔しようとする作用を持つものがあり、これらが人体に取り込まれると正常な発達や機能が妨げられてしまう危険なものもあります。

2004年当時に千葉大学大学院で教授をしていた森千里先生は、

現代の胎児は間違いなく化学物質に汚染されていて、実際に調べてみるとへその緒から数十種類の化学物質が検出された。

他の研究所では羊水からも化学物質が検出されたとの報告があった。

とインタビューでおっしゃっています。

胎児に影響が大きい時期

最も胎児に影響が出やすい時期として、妊娠初期が挙げられます。

妊娠3か月ごろまでは細胞分裂が盛んにおこなわれている時期で、生きる上で重要な臓器や器官などが作られる時期に当たります。

この頃に環境ホルモンにさらされると先天性異常や健康障害が出やすくなることが動物実験でわかっているため特に注意が必要ですが、妊娠初期だけ気を付けていればいいというものでもないようです。

環境ホルモンの種類

環境ホルモンには2つのパターンがあります。

一つは水溶性のもの。

もう一つは脂溶性のものです。

水溶性のものは体外排出されやすいのですが、脂溶性のものは体内にどんどん蓄積されていくという特徴があります。

例えば妊娠した時点で気を付けたとしても、母体にすでに過去からの環境ホルモンが蓄積されている場合には手遅れ状態ということです。

妊娠する年齢が上がれば上がるほど蓄積度合いも上がるので、将来妊娠を希望するのであれば、若いうちから化学物質にさらされない生活を心がけることが重要になってきます。

異変は各国にも

米疾病対策センター(CDC)によると、アメリカで2006年~2008年の間に発達障害と診断された子どもは、10年前と比べると約180万人以上も多くなっています。

この10年間で自閉症の患者数は300%近く増加、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は33%も増加している計算になるそうです。

また同センターの統計によると、アメリカで生まれる全ての赤ちゃんのうち、10~15%が何らかの神経発達障害を持ち、神経障害と診断されない程度の障害を持つ子どもたちはさらに多いとされています。

この異変はアメリカのみならず世界中で確認されていて、一番の原因として挙げられているのは化学物質。

外部の空気中に含まれている排気ガスや細かい粒子状物質などと同じく、屋内の空気中や日用品においても化学物質が使用されているものが普通に存在し、出生前後の脳の発達に悪影響をもたらす可能性があることを科学者たちは指摘しています。

脳の発達のみならず精子の異常や卵巣の異常など生殖機能にまで影響が及ぶことも珍しくなく、その影響の大きさは計り知れない恐怖となっています。

化学物質を避けるためにすぐに始められること

体内に化学物質をできるだけ取り込まないためにできることがいくつかあります。

喫煙者のそばに行かない

タバコには化学物質が多量に含まれています。タバコを吸わない人でも、吸っている人のそばにいるだけで悪影響が出るため、できるだけ避けるようにします。

同じものばかりを食べない

化学物質は農薬の中にも含まれています。例えば毎日同じものばかりを食べる生活をしていた時、もしその食べ物が化学物質の温床だった場合には必然的に体内に取り込まれる量が多くなりますよね。

その危険を避けるためにも、バランスのいい食事を意識しましょう。

脂肪の取りすぎに注意

脂溶性の化学物質は脂肪に溶け込んで蓄積されることがわかっているため、脂肪分を多くとるということはその分リスクが上がることにもなります。

食べ過ぎには注意しましょう。

化学物質を多量に使用している商品を避ける

最近になって健康被害の相談が増えているのが、香りが長続きすると謳われている洗剤や柔軟剤です。

これらには香りを閉じ込めたマイクロカプセルが無数に混在し(キャップ一杯に1億個とも…)、刺激や熱でカプセルがはじけて香りを放出する仕組みになっています。

常に洋服に化学物質を付けて生活しているようなもので、本人のみならず周りの人にも悪影響を与えています。

詳しくはこちらの記事を参考にどうぞ→洗剤・柔軟剤などの“香害”に苦しむ人が増加傾向。その香り、キツすぎませんか?誰かの迷惑になっていませんか?

食物繊維をたくさんとる

食物繊維には、体内に取り込まれた化学物質を体外に排出する効果が確認されています。

食物繊維をバランスよくしっかりとって、体内環境を良くしましょう。

防虫処理に注意

木造住宅にお住いの方は、5~10年に一度くらいのペースで防蟻処理(シロアリ駆除剤)を床下に施すのが一般的です。

30年近く前までは人体にも影響のある駆除剤を使っていて、シックハウス症候群という病にかかる人が多い時期がありました。

現在では当時の駆除剤は禁止されているため使用はされておらず、揮発性(液体が気体になること)が少ないものになったため、シロアリ駆除の会社のHPにも「安全です」と書かれていることが多いのですが、実際は小さいお子さんや妊婦さんのいるご家庭では時期をずらしたほうがいいと思われます。

床下に処理するものですから、床に近い場所にいる赤ちゃんや幼児はその空気を吸いやすく、また妊婦さんが吸った場合には胎児に影響が出やすくなってしまうので、いくら「大丈夫」と言われても心配になりますよね。

どうしてもやらなければいけない場合には、土中に薬剤を埋めてシロアリを駆除する方法(ベイト工法)であれば安全度は高いようです。

ベイト工法についてはこちら→シロアリ駆除は子どもに安全?プロが薬剤の影響と予防法を解説

おわりに

今回は化学物質が子ども(主に胎児)へどのような影響を与えるかについてみてきましたが参考になりましたでしょうか。

私達の生活は便利さを求めた結果、化学物質まみれになってしまいました。

この化学物質が原因で、人間以外の生物のみならず人間自身も苦しめられているのが現状。

とは言え、化学物質を完全に排除すれば今のような便利な生活はできなくなってしまいます。

本当に難しい問題を私達は抱えています。

他の生物に迷惑をかけないように。

私達の身体に少しでも影響を少なくできるように。

未来を生きる人達に少しでもいい状態で地球を引き継げるように。

一人一人がこの問題と真剣に向き合っていかなければいけません。

まずは自分の身の周りにあるもの、自分達の口に入れるものから見直していきましょう。

化学物質で苦しむ人が少しでも減るよう、願っています。

 

こちらの記事も参考にどうぞ→増加する【化学物質過敏症】とは。発症原因は身近なところに大量に…。過去には集団発生も。

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