「聴く」から始まる良好な人間関係。「傾聴」がもたらす効果とは。あなたは大切な人の心に寄り添えていますか?

生活

大したことでもないのにすぐに子供を怒鳴ってしまう。

こちらの言うことを聞いてくれないと必要以上にイライラしてしまう…。

自分の育児の仕方、親としての器の小ささに以前よりますます嫌気がさし「このままじゃいけない」と強く思うようになったのをきっかけに、「大切な子供を親がつぶさないためにはどうしたらいいのか」を最近よく考えていました。

何か少しでも子供の為に思考を変えられないかと思い悩んでいたところ、「傾聴」が聞き手にとっても話し手にとっても有効な手段であるという情報を得ることができ、早速調べ、実践してみることに。

パートナーとの関係が上手くいかない、子供を叱るときに冷静に接することが難しかった、という方にぜひこの方法を試してもらえたらと思います。

「傾聴」って??

「傾聴」という言葉を初めて聞いた、という方もいらっしゃるでしょうか。

読んで字のごとく「相手の話に耳を傾けて聴く」という行為を「傾聴」と言い、相手との信頼関係を構築するために有効な手段だとされています。

ん?

おしゃべりや話し合いとは何が違うの?

と思った方もいらっしゃるかもしれません。

「傾聴」がそれらと最も違うところは「自分の考えを前面に出すことなく、相手が話す事柄を全て受け止めるような感覚で相手の心に寄り添う聴き方をする」ことにあります。

「聴」の字が表すように耳だけではなく、目や心でも相手の感情、奥にある本音に寄り添い、受け止め、共感する。ただ「聞いている」とは違い、より深く、より丁寧に相手の話に耳を傾けることです。

この方法はビジネスの場でも重要視され、注目されています。

傾聴することで何がどうなるの?

心がモヤモヤした時、誰かに話を聞いてもらうだけでスッキリしたり、解決法が見えてきたりなど、経験のある方も多いのではないでしょうか。

問題を自分の口から人に話すことで、自分の心の整理に繋がったり、感情が優先されて見えていなかったものが冷静に話すことにより見えてきたりなど、普段はあまり意識されていないかもしれませんが、人に自分の気持ちを話すということは心にとても大きな役割を果たしています。

相手(話し手)が自分自身の気持ちを認め、分析し、どうすればいい方向に向かうことができるかを考えるきっかけを与えることができるのが「傾聴」という行為。

傾聴は、カウンセリングの場では「相手に自分の思いや話したいことを口にさせることで、自分自身への理解を深めさせ、納得のいく判断や結論に達するようサポートする」ことを目的としているそうですよ。

自分自身の気持ちの理解にも繋がる

相手の気持ちに寄り添うことで、自分自身の気持ちの理解にも繋がります。

自分の経験したことのないことを相手が話しているときは、もし同じような体験をした時には自分はどう思うのだろう、と考えるチャンスでもあります。

話し手の気持ちに寄り添って聴いていた話が自分の中での経験値となり、のちに実際に聴き手自身に同じような事態が起こった時にはかなり冷静に、的確に対処できます。

相手の心を知ることは自分の心を知ることと繋がっています。

傾聴のルール

傾聴は、相手の話をただ一生懸命聴いていればいいというものではありません。

聴く上でいくつか大切なルールがあります。

話を聴く姿勢

話し手の目を見て聴く
相槌を打つ、頷く
気持ちに寄り添いながら、思いを汲み取りながら聴く
「きちんと話を聴いているよ」「ちゃんとあなたの心に寄り添っているよ」という姿勢を聴き手が取ることで、話し手も聴き手を信頼し心を開いてくれやすくなります。
基礎となるこの3点をしっかり意識しながら傾聴していきます。

聴き手が話すとき

声のトーンや大きさを相手に合わせる
話のスピードやリズムを相手に合わせる
呼吸を合わせる
気持ちを合わせる
言葉を合わせる
相手が小さな声で話しているのにこちらが大きな声で話し始めたりゆっくり話しているのに聴き手が早口で話したりすることは、話す側の人間からすると話しにくいし落ち着きません。ペースを相手に合わせます。
また、相手が話している最中には、話したいことがあるのにうまく言葉が選べないときなどに間ができてしまうこともあります。その間は話し手にとっては自己対話をしている貴重な時間であり、気まずい時間とは意味が全く異なります。
そのようなときは相手が話し始めるまできちんと待つべきです。間を埋めるために話しかけたりしないよう注意してください。
そして、相手が使った言葉をこちらも使うように心がけることで、より親近感が増します。共感する時など、相手の発した言葉を使用するようにしましょう。(「悲しかったね」「嬉しかったね」など)
相手に合わせることは傾聴では欠かせない重要事項。
話し手に「心の奥を見せてもいいかな」「この人なら聞いてもらえそうだな」と少しでも思ってもらえるよう、話しやすい環境作り・雰囲気作りを徹底して行います。

解決策にたどり着くために

相手の話を要約する
解決策を本人に見つけ出させる

相手の話をよく聴き、その話を聴き手が要約することで、話し手は自分の状況を客観視することができます。「あなたは今、このことでこう思っていて、こういうことで悩んでいるということで間違いないかな?」と他人の口から言われることで、今まで主観的にとらえていた物事を客観視することができ、解決の糸口が見つけやすくなります。

ここで注意するのは、聴き手側が解決方法を指示したり誘導したりしてはいけません。それは聴き手の人にとっての解決策であって、相手に適した解決方法とは言えないからです。今後どのようにしていくかは必ず本人に決めさせなければなりません。答えは相手の中にしか存在しないのです。

やってしまいがちな聴き手のNG行為

相手の話をジャッジする
自分の話にすり替える
この2点は聴き手の感情も大きく関わってくる部分なのでコントロールが最も難しいと言えるかもしれません。傾聴を行う中でついやってしまいがちになるのですが、グッと我慢です。
聴き手にとって、話し手が身近であればある人ほど、親しみがあればある人ほど、話を聴くとアドバイスをしたくなったり、感情移入して「わかるよ~!私も前にさ~…」と自分の経験談を話してしまいたくなりがちです。
しかしアドバイスも経験談も傾聴の際には不要であり、時には邪魔になることもあります。
あなたは相手の話をすべて受け入れるのが役目。
感情を汲み取ることは大切ですが、移入してしまうと解決に向けての道筋が見えづらくなってしまうので、「相手に起こっている事実」と「あなたの感情」をごちゃごちゃにするのはNGです。

子供への実践

傾聴のルールがわかったとしてもいざ実践しようと思うとなかなか難しいものです。
特に我が子に対しては感情が左右され、冷静さを保つことの大変さったら…。
初めから全てうまくいかせるのは大変なので、簡単なところから・できるところからやってみてもいいと思います。

目線の高さを合わせる

子供は大人より背が低いためいつも親を見上げている状態です。

それを大人が子供の目線まで身体をかがめ、同じ高さの目線で話すようにします。

あなたのことを知りたい、という思いを伝える

子供のとったよくない行動を大人が怒り口調で責めると、子供は口も心も閉ざしてしまいます。できるだけそうならないためにも「なんでそんなことするのか、お母さんわからないからあなたの気持ちを教えてほしい」というような言い方をした方が子供の心に響きやすいです。

「怒り」のさらに奥の感情に気付く

怒りはさらにその奥にある感情を隠すための手段だとも言われているそうです。

昨日実際にあったことを例に挙げてみますね。

本来なら『宿題を終わらせてから遊ぶ』のが我が家のルール。しかし「ゲームを30分した後に宿題をやるから」と9歳の長女が言い出し、娘を信じてOKしました。30分経ち、ゲームは終えたものの他の遊びを始めたため宿題をする気配はなし。

しばらく待ってみたのですが一向に何も変わらないので私の中に沸々と怒りが…。この時に自分の怒りの感情のさらに奥を意識してみました。「30分ゲームしたら宿題やるっていてたのに何でやらないのよ!」→「本来は宿題の後にゲームなのにそれを許した私の気持ちは!?」→「信用したのに約束を守ってもらえずガッカリ。悲しい」…。

この場合は「ガッカリ、悲しい」というのが私の本音で、「怒り」はその気持ちから派生して起きた二次感情と言えます。

子供を怒りそうになったとき、その怒りが自分のどのような気持ちから来ているのかを一瞬立ち止まって考えてみると、意外に冷静になれます。

「あなたは…」ではなく「私は…」を意識する

この例でいうと、いつもなら「約束が違う!!」と子供を責めているところですが、自分の本音に気付いたためちょっと違いました。

「あなたは平気で約束破るね」ではなく、「私はあなたが約束を守ってくれると信じて宿題より先にゲームをしてもいいよと許可したんだよ。でもいつまでもやらなくて、約束を守ってもらえなかったのがすごく悲しかった」と自分の本音を子供に素直に伝え、「ゲームしたら他の遊びもしたくなっちゃったのかな?」と娘の気持ちを汲み取る言葉を掛けてみたのです。

すると子供も自分の行動が母親を悲しませる結果に繋がったことに胸が痛んだのか「そうなんだ…。ごめんなさい」と言い宿題を始めました。

子供は自分が悪いと分かっていても頭ごなしに責められると拗ねたり反発したくなったりします。それは責められている自分への防御の姿勢と言えるのかもしれません。

でもこちらが「私」を主語にして気持ちを伝えること、さらには子供の気持ちに寄り添う言葉を一言掛けることで、子供は盾を持つ必要がないので言葉がスッとに心に入り込みやすくなるようです。

私も怒りの感情に身を任せることなく自分の気持ちを素直に受け止めることで冷静になれ、不必要に子供を怒ったり傷つけるような言葉を言わずに済んだことに安堵しました。

そして、子供を怒るのみでなぜこれだけ怒っているのかという説明をいつも省略していたな…と気付き、今さらながら反省しています。。。

誰のための行動なのか考える

ここでまた一つ例を挙げてみますね。

我が家の4歳の長男はとってものんびり屋さん。予定日より1週間遅くこの世に生まれ、歩き始めも言葉が出るのも平均より遅く、来月から幼稚園入園だという時期にきてもオムツが取れる気配は一切ありませんでした。

長女も次女も3歳半ばでオムツは完全に外れていたのに彼は3歳10か月を過ぎてもトイレではできずオムツ一本。さすがにまずいと思い、トイレ訓練を始めたのですが全く上手くいかず…。毎日毎日何度も何度もトイレを促すのですが排尿ですら1度も成功しない。

そんな時「いい加減にトイレでしなさい!何でできないの!!恥ずかしいよ!!」と感情に任せて長男を叱りつけたことがありました。「できなくても怒っちゃいけない、怒っちゃいけない…」とコントロールしていた気持ちに歯止めが利かなくなっての出来事でした。

怯えたような、悲しそうな目をして便座に座る長男を見て「誰のためにトイレ訓練をしているのか」と我に返り自問自答してみました。

幼稚園に入った時に周りの子がトイレでできるのに自分だけオムツじゃ恥ずかしいだろうから…と思っていたけれど、本当に理由はそれだけ?近所の誕生日が長男より遅い子達がどんどんパンツに移行する中、うちだけオムツで焦ってない?みんなに追いつきたいから、が私の本音じゃないの?その気持ちに長男を巻き込んでいるだけでは…?

それに気づいてからトイレを無理強いすることはやめました。本人のタイミングでパンツに移行すればいい。オムツかどうかなんて大した問題じゃない。幼稚園の先生がオムツで入園してくる子が毎年半分はいるとおっしゃっていたし。いい意味で開き直りました(笑)。

結局そのままオムツで入園したのですが、入園して3週間後。彼の4歳の誕生日まであと半月に迫った頃に完全にパンツになりました。その時から夜も完全にパンツですが今まで1度もおねしょはなし。失敗知らずの優秀なパンツ君になりました。

その子のタイミングってあるし、親が強制してやらせるのも考え物です。

親が無理にやらせるよりも、本人がやってみようと思ったときの方が成功する確率は格段に高いのですから。

長々と書いてしまいましたが親の指示で子供に何かをやらせる際には「子供を使って自分の欲求を満足させようとしていないか」を考えてみる必要があります。

親の自己満足のために嫌がる子供を巻き込むことは子供に多大な負担となり、反発心を植え付けるだけになってしまいます。

おわりに

私はいつも「忙しい、早く終わらせたい」を理由に、子供の話をきちんと最後まで聴くことなく、自分の思いを最後まできちんと話すこともなく、ただギャーギャー怒るだけのどうしようもない母親でした。それをわかっていながら自分を変えようともしていなくて、毎日自分に嫌気がさしていて…。

実を言うとこの「傾聴」を知ったのはごく最近のことで、実践し始めてからまだ日が浅い状態です。実践と言っても私はまだご紹介した「子供への実践」のレベルですが、自分の気持ちに素直になることが子供の心も素直にするんだなぁ…と効果を感じているところです。

相手(特に我が子)の話をじっと聞いてその全てを受け入れることは容易なことではないかもしれません。しかし傾聴前と傾聴後では相手の気持ちにもあなたの気持ちにも変化が起こっているはずです。それがたとえ少しの変化であっても、それは前進だと言えるでしょう。

私が母親になってもうすぐ10年。でもまだまだ親としては未熟です。

どうしたら子供とうまく関係が築けるのか模索中している中、自分の気持ちも子供の気持ちも大切にできる傾聴という手段を知りました。

傾聴は子供だけでなく、夫、実家、義実家、兄弟姉妹、友人、ビジネスシーンなど、あらゆる人間関係に効果を期待できる方法です。

 

自分の気持ちを押し出す前に。

大切な人を傷つけるような言葉を発してしまう前に。

そんな自分自身を嫌いになってしまう前に。

 

まずは相手の気持ちをじっくり聴いてみることから始めてみるのはいかがでしょうか。

 

あなたが良好な人間関係を築けますように。

 

 

 

私が実際に読んで参考にさせていただいたのはこちらの本です。
色々な「気付き」をくれる一冊です。

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