小中学生の7人に1人が貧困家庭だと言われている現代の日本。
1クラス35名ほどだとすると、クラス内に4~5人は貧困家庭の子がいるという試算になります。
このような子ども達を救うため、奈良県のお坊さんが発起人となったある活動が話題になっています。
お寺が子どもを救う!?
飽食の時代を生きる私達ですが、一方で餓死状態で見つかった方達のニュースも度々目にします。
2013年には大阪市北区で20代の母親と3歳の子が餓死状態で見つかるという大変痛ましい事件が起こりました。
「貧困に苦しむ子ども達を救いたい」と一人のお坊さんが始めた活動が、今日も子ども達に食物と笑顔を届けています。
子ども達を救いたい、というまっすぐな思い
奈良県の安養寺で住職を務める松島靖朗さん。
画像元:子どもの貧困問題を支援「おてらおやつクラブ」発起人・松島靖朗さん。異色の経歴からお坊さんへ | おてらおやつクラブ#01 (n-park-project.jp)
この時代にも餓死をする子どもがいることに衝撃を受け、何か助ける手立てはないかと考えて実行したのが、檀家さんなどから頂いた仏さまへの「おそなえ」の品を貧困家庭に「おすそわけ」する活動。
頂いた品物を
その名も【おてらおやつクラブ】。
2014年から始まったこの活動ですが、2021年4月の時点で、この活動に参加しているのは47都道府県の1605か寺と509の支援団体。
支援している子どもの人数は1カ月でおよそ22,000人にも上るそうです。
活動を始めた当初は、松嶋さんのお寺に来るお供えの品を貧困家庭を救うための支援団体に直接持っていき、「困っているご家庭に届けてください」とお願いしていましたが、貧困家庭の件数が多すぎて1寺院のお供え品では到底足りなかったそう。
そこで知り合いのお寺の住職さんに協力を募ったところ、賛同を得た寺院からもお供えの品を提供できるようになり、その輪がどんどんどんどん広がって今のように全国規模になったとのことです。
2018年にはグッドデザイン大賞を受賞
この活動が評価され、2018年には【おてらおやつクラブ】はグッドデザイン大賞を受賞します。
大企業から中小企業まで数多あるエントリー企業のうち、たった1事業者のみが選ばれるこの大賞を受賞したことは、異例づくしでした。
今までどこかの企業の「有形」の商品などが受けていた賞であったのに対し、おてらおやつクラブは「無形」であること、さらにお寺の“活動”を評価してもらえたことは当時大変な話題となり、発祥地である奈良県にも大きな喜びを与えました。
受賞をきっかけにこの活動を知り、支援を申し出てくれる企業や個人の方々が増えたのも大きな強み。
貧困家庭は食べ物に困っているだけではなく、生活全般に渡り困っていることが多いため、今ではおやつだけでなく、シャンプー、おむつ、生理用品などの日用品も貧困家庭に届けられています。
おやつのお礼にとお寺の掃除を願い出る子どもがいたり、様々な相談をしに来る子がいたりとお寺はいつもにぎわっているそう。
「支援をした家庭の、ある男の子が手紙を書いてくれて。『和菓子はもういいのでポテトチップスを送ってほしいです』って(笑)。
なんか、生意気なやつやなとも思いましたけど、でもこの子はずっといろんな我慢をしてて、お母さんも『我慢させてることがつらいです』って言ってたんですよ。ちょっと心配やったんです。
やっと子どもらしい姿を見せてくれたな、ようやくその段階に来れたなって思って。そういう、ちょっとした子どもの変化をたくさんつくっていけたら、ということを今は目標としていますね」
参照元:子どもの貧困問題を支援「おてらおやつクラブ」発起人・松島靖朗さん。異色の経歴からお坊さんへ | おてらおやつクラブ#01 (n-park-project.jp)
子どもの心にはこの活動への感謝と共に心強い味方がいることへの安心感が与えられているのだと感じます。
今後もこの活動が続きますよう、また貧困家庭が1軒でも減ることを願います。
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